この総説は、2012年末までに公表された携帯電話使用と頭蓋内腫瘍に関する研究のメタ分析を行い、各研究結果全体の一貫性の評価、データセットの組み替えによる結果の変動の大きさ(感度)の評価、研究間の異質性の根源の探索を行った。採用基準を満たした29編の論文は、適格性のある47件の調査を報告していた(神経膠腫17件、髄膜腫15件、聴神経鞘腫15件)。これらの研究に、「研究グループ」(インターホン研究、スウェーデン、米国、英国の研究グループなど)、「研究種別」(一次調査とプール分析)、「研究デザイン」、「ばく露評価方法」などの変数を割り当てた。3つのアウトカム毎に、研究がオーバーラップしない研究の組合せを5通り設定した(一次調査を組み入れた場合、それが取り込まれているプール分析は組み入れないなど)。その結果、携帯電話の長期(≧10年)使用者群の統合相対リスク(cRRs:カッコ内は95%信頼区間)は、髄膜腫では0.98(0.75-1.28)と1.11(0.86-1.44)の間となり、研究間での異質性はほとんどなかった;神経膠腫では1.19(0.86-1.64)と1.40(0.96-2.04)の間、聴神経鞘腫では1.14(0.65-1.99)と1.33(0.65-2.73)の間となり、この2つのアウトカムのリスク推定値には大きな異質性が含まれていた;一次調査を対象としたメタ回帰分析で、「研究グループ」に埋め込まれている調査方法の違いが、調査結果の全体的異質性の最大の説明因子であることが示された;このように結果に異質性がある場合の統合リスク推定値は過大解釈しない方が良いが、全般的に今回の結果は、「携帯電話使用は頭蓋内腫瘍の発症に影響する」という仮説を損なう、と報告している。
以下の29報を含めた:Muscat他(2000)、Muscat他(2002)、Inskip他(2001)、Auvinen他(2002)、Hardell他(1999)、Hardell他(2002)、Hardell他(2003)、Hardell他(2005)、Hardell他(2006)、Hardell他(2006)、Hardell他(2006)、Christensen他(2004)、Christensen他(2005)、Lönn他(2004)、Lönn他(2005)、Hepworth他(2006)、Schüz他(2006)、Schlehofer他(2007)、Takebayashi他(2006)、Takebayashi他(2008)、Klaeboe他(2007)、Hours他(2007)、Schoemaker他(2005)、Lahkola他(2007)、Lahkola他(2008)、インターフォン研究グループ(2010)、インターフォン研究グループ(2011)、Schüz他(2011)、及び Frei他(2011)。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | (定常的)使用経験なし |
集団 2 | (定常的)使用経験あり |
集団 3 | 短期使用: 0.5-6.5年 |
集団 4 | 中期使用: 5-9年 |
集団 5 | 長期使用: ≥ 10年 |
アウトカムが重複しない研究の5つの組合せを同定し、複合相対リスクを計算した。髄膜腫については、長期間の携帯電話ユーザー(≥ 10年)における複合相対リスクは0.98(CI 0.75-1.28)から1.11(CI 0.86-1.44)の範囲で、研究間の不均質性はほとんどなかった。長期間のユーザーにおける神経膠腫及び聴神経鞘腫のリスクの推定値の間には、高い不均質性が検出され、複合相対リスクはそれぞれ1.19(CI 0.86-1.64)から1.40(CI 0.96-2.04)、及び1.14(CI 0.65-1.99)から1.33(CI 0.65-2.73)の範囲であった。元の研究(プール分析を除く)のメタ回帰は、「研究グループ」の変数に組み込まれた手法の違い(デザイン、症例の確認、対照の選択、ばく露評価に基づく)が、結果における全体的な不均質性の大半を説明することを示した。不均質な知見に基づくリスク推定値のサマリは過剰解釈すべきではない。
著者らは、全体として、彼らのメタ分析の結果は携帯電話使用が頭蓋内腫瘍の発生に影響を及ぼすという仮説を支持しない、と結論付けている。
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