この研究は、スウェーデンの一部地域において1997-2003年に診断された聴神経鞘腫の20-80歳の男女(この対象者での症例対照研究の結果は公表済み)とその後スウェーデン全国において2007-2009年に診断された聴神経鞘腫の18-71歳の男女(未発表)について、携帯電話およびコードレス電話使用との関連をプール分析した(新しい調査では聴神経鞘腫の症例数が少なかったためと述べている)。いずれの症例に対しても、人口ベースの対照1人を性別と年齢(5歳差以内)をマッチさせてスウェーデン人口登録から同定した。ばく露情報は、自記式質問票と補完のための電話インタビューによった。その結果、症例316、対照3530が参加した(症例1に対照1を同定したと述べていることとの食い違いの理由は不明);携帯電話(アナログタイプ、2Gまたは3Gディジタルタイプに分類)・コードレス電話など機種別、使用期間カテゴリー別、使用頭側別に数多くのオッズ比を算出した;例えば、全て無線電話についての20年以上の使用者のオッズ比は4.4(95% 信頼区間:2.2-9.0)と報告している。
以下の研究を含めた:1997-2000年の期間をカバーする最初の症例対照研究は、Hardell他(2002) 及び Hardell他(2003) で発表されている。2000-2003年の期間をカバーする第二の研究は、良性の脳腫瘍に関しては Hardell他(2005) 、悪性の脳腫瘍に関しては Hardell他(2006) で発表されている。これらの研究のプール分析は、Hardell他(2006) で発表されている。良性の脳腫瘍についての新たな症例対照研究は2007-2009年の期間に実施された。この新たな研究の髄膜腫についての結果は、Carlberg他(2013) で発表されている。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 非ばく露 |
集団 2 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 3 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 4 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 5 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 6 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 7 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 20年 |
集団 8 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 9 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 10 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 11 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 12 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 13 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 20年 |
集団 14 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 15 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 16 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 17 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 18 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 19 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 20年 |
集団 20 | 携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 21 | 携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 22 | 携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 23 | 携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 24 | 携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 25 | 携帯電話の潜伏期間 > 20年 |
集団 26 | コードレス電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 27 | コードレス電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 28 | コードレス電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 29 | コードレス電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 30 | コードレス電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 31 | コードレス電話の潜伏期間 > 20年 |
集団 32 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 1年 |
集団 33 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 34 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 35 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 36 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 37 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 20年 |
集団 38 | 携帯電話+コードレス電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 39 | 携帯電話+コードレス電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 40 | 携帯電話+コードレス電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 41 | 携帯電話+コードレス電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 42 | 携帯電話+コードレス電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 43 | 携帯電話+コードレス電話の潜伏期間 > 20年 |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 338 | 4,038 |
参加者 | 316 | 3,530 |
参加率 | 93 % | 87 % |
本研究の主な結果は、ワイヤレス電話(携帯電話及びコードレス電話)の使用と聴神経鞘腫との関連であった。調査した全ての種類の電話についてリスク上昇が認められ、最も長い潜伏期間でオッズ比が最も高かった(上の表を参照)。潜伏期間が長いカテゴリーでの複数の計算は、少数のばく露された症例に基づいていた。正式には、最も高いオッズ比は第三世代(3G)デジタル携帯電話について計算されたが、この結果は統計的に有意ではなく、少数のばく露された症例に基づいていた。携帯電話及びコードレス電話の両方について、同側使用は反対側よりも高いリスクを生じた。携帯電話及びコードレス電話の累積使用時間100時間毎、及び潜伏期間の年数毎にORが上昇したが、コードレス電話については統計的に有意ではなかった。腫瘍の体積の割合は、アナログ携帯電話について、潜伏期間の年数毎、及び累積使用時間100時間毎に統計的に有意に増加した。
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