研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[ノルウェーにおける携帯電話の使用と頭蓋内腫瘍のリスク] epidem.

Use of mobile phones in Norway and risk of intracranial tumours

掲載誌: Eur J Cancer Prev 2007; 16 (2): 158-164

携帯電話からの無線周波電磁界ばく露が、成人神経膠腫髄膜腫および聴神経腫の発症を増大させるという仮説を検証すること。発症した症例は、ノルウェー南部で2001年~2002年に診断された、19~69歳の患者である。人口集団から年齢、性および住居地域を度数マッチングさせて対照が抽出された。携帯電話使用についての詳細な情報が、289人の神経膠腫患者(回答率77%)、207人の髄膜腫患者(71%)、45人の聴神経腫患者(68%)、358人の対照(69%)から収集された。平均して少なくとも6ヶ月間にわたり少なくとも週に1度以上の使用として定義された携帯電話の規則的使用者のオッズ比は、神経膠腫が0.6(95%信頼区間(CI)=0.4-0.9)、髄膜腫が0.8(95%CI=0.5-1.1)、聴神経腫が0.5(95%CI=0.2-1.0)であった。神経膠腫と聴神経腫について、携帯電話使用が6年以上でも同様の結果が見られた。例外は髄膜腫で、オッズ比は1.2(95%CI=0.6-2.2)であった。さらに言えば、携帯電話の規則的使用の期間、最初の規則的使用以降の期間、または累積使用時間の増大による神経膠腫あるいは聴神経腫の増加傾向は観察されなかった。今回の研究の結果は、携帯電話使用は神経膠腫髄膜腫、聴神経腫のリスク上昇と関連しないことを示唆した。

研究の目的(著者による)

携帯電話の使用が神経膠腫髄膜腫及び聴神経鞘腫リスクを高めるという仮説を検証するため、ノルウェーにおいて人口ベース症例対照研究を実施した。本研究はインターフォン・プロジェクトの一部である。

詳細情報

定常的使用は、携帯電話を6か月以上にわたって少なくとも週に1回使用と定義した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 なし、または非定常的使用
集団 2 定常的使用
集団 3 定常的使用の期間:< 2年
集団 4 定常的使用の期間:2-5年
集団 5 定常的使用の期間:≥ 6年
集団 6 最初の定常的使用からの期間:< 2年
集団 7 最初の定常的使用からの期間:2-5年
集団 8 最初の定常的使用からの期間:≥ 6年
集団 9 累積使用:< 17時間
集団 10 累積使用:17-424時間
集団 11 累積使用:≥ 425時間
集団 12 ハンズフリーについて調整後の累積使用:< 17時間
集団 13 ハンズフリーについて調整後の累積使用:17-424時間
集団 14 ハンズフリーについて調整後の累積使用:≥ 425時間
集団 15 累積通話件数:< 400
集団 16 累積通話件数:400-6999
集団 17 累積通話件数:≥ 7000
集団 18 デジタル電話、定常的使用
集団 19 デジタル電話、最初の定常的使用からの期間:< 2年
集団 20 デジタル電話、最初の定常的使用からの期間:2-5年
集団 21 デジタル電話、最初の定常的使用からの期間:≥ 6年
集団 22 アナログ電話、定常的使用
集団 23 アナログ電話、最初の定常的使用からの期間:< 6年
集団 24 アナログ電話、最初の定常的使用からの期間:≥ 6年
参照集団 25 同側、使用なしまたはほとんどなし、あるいは腫瘍と反対側で使用
集団 26 同側、定常的使用
集団 27 同側、定常的使用の期間:< 2年
集団 28 同側、定常的使用の期間:2-5年
集団 29 同側、定常的使用の期間:≥ 6年
集団 30 同側、最初の定常的使用からの期間:< 2年
集団 31 同側、最初の定常的使用からの期間:2-5年
集団 32 同側、最初の定常的使用からの期間:≥ 6年
参照集団 33 反対側、使用なしまたはほとんどなし、あるいは腫瘍と同側で使用
集団 34 反対側、定常的使用
集団 35 反対側、定常的使用の期間:< 2年
集団 36 反対側、定常的使用の期間:2-5年
集団 37 反対側、定常的使用の期間:≥ 6年
集団 38 反対側、最初の定常的使用からの期間:< 2年
集団 39 反対側、最初の定常的使用からの期間:2-5年
集団 40 反対側、最初の定常的使用からの期間:≥ 6年

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
参加者 541 358
参加率 74 % 69 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

携帯電話の使用と神経膠腫髄膜腫または聴神経鞘腫リスクとの関連は認められなかった。携帯電話使用の側性腫瘍の部位と相関していなかった。

研究の限界(著者による)

観察期間が短すぎ、携帯電話使用の長期的な影響は検出できなかった。

研究助成

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