この研究は、脳腫瘍の発生リスクと携帯電話およびコードレス電話の使用との関連を調べた症例対照研究である。症例は、1997年1月1日から2000年6月30日までに診断された男女の20〜80歳の1,617人の脳腫瘍患者である。対照は、各症例に1:1でマッチさせて、スウェーデンの人口登録簿から選出された。調査地域は、スウェーデンのウプサラ・オレブロ、ストックホルム、リンシェーピング、ヨーテボリの医療地域である。ばく露評価は、質問票調査によった(回答率は、症例1,429人(88%)、対照1,470人(91%))。その結果、アナログ携帯電話の合計使用で見ると、オッズ比(OR)= 1.3、95%信頼区間(CI)= 1.04-1.6であった;デジタルおよびコードレス電話では全体的にリスク上昇はなかった;同側使用については、リスク上昇が全ての電話タイプで見られた(アナログ電話でOR = 1.7、95%CI = 1.2-2.3、デジタル電話でOR = 1.3、95%CI = 1.02-1.8、コードレス電話でOR = 1.2、95%CI = 0.9-1.6);同側使用によるリスク上昇は星状細胞腫において顕著であった(アナログ電話OR = 1.8、95%CI = 1.1-3.2、デジタル電話OR = 1.8、95%CI = 1.1-2.8、コードレス電話OR = 1.8、95%CI = 1.1-2.9);反対側使用ではリスク上昇が見られなかった、など数多くのリスク推定値を報告している。[JEIC注記:この著者は、この研究(FEMU ID:9520)と同じ調査データを用いたと思われる分析結果を他にも報告している(例えばFEMU ID:9361および9105)。]
本研究では、携帯電話及びコードレス電話使用と脳腫瘍についてのスウェーデンの症例対照研究(publication 9105 参照)のデータベースについての更なる分析を実施した。
更に、同じ症例対照研究(publication 9105)のデータベースについての追加的な分析が、publications 9361 、11953 及び 12393 にある。携帯電話またはコードレス電話へのばく露がない被験者は非ばく露と分類した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 非ばく露 |
集団 2 | アナログ、450MHz、潜伏期間 > 1年 |
集団 3 | アナログ、450MHz、潜伏期間 > 5年 |
集団 4 | アナログ、450MHz、潜伏期間 > 10年 |
集団 5 | アナログ、900MHz、潜伏期間 > 1年 |
集団 6 | analog, 900 MHz, > 5 years latency |
集団 7 | アナログ、900MHz、潜伏期間 > 10年 |
集団 8 | アナログ、全て、潜伏期間 > 1年 |
集団 9 | アナログ、全て、潜伏期間 > 5年 |
集団 10 | アナログ、全て、潜伏期間 > 10年 |
集団 11 | アナログ、≤ 85時間、潜伏期間 > 1年 |
集団 12 | アナログ、≤ 85時間、潜伏期間 > 5年 |
集団 13 | アナログ、≤ 85時間、潜伏期間 > 10年 |
集団 14 | アナログ、< 85時間、潜伏期間 > 1年 |
集団 15 | アナログ、< 85時間、潜伏期間 > 5年 |
集団 16 | アナログ、< 85時間、潜伏期間 > 10年 |
集団 17 | デジタル、全て、潜伏期間 > 1年 |
集団 18 | デジタル、全て、潜伏期間 > 5年 |
集団 19 | デジタル、全て、潜伏期間 > 10年 |
集団 20 | デジタル、≤ 55時間、潜伏期間 > 1年 |
集団 21 | デジタル、≤ 55時間、潜伏期間 > 5年 |
集団 22 | デジタル、≤ 55時間、潜伏期間 > 10年 |
集団 23 | デジタル、< 55時間、潜伏期間 > 1年 |
集団 24 | デジタル、< 55時間、潜伏期間 > 5年 |
集団 25 | デジタル、< 55時間、潜伏期間 > 10年 |
集団 26 | コードレス、全て、潜伏期間 > 1年 |
集団 27 | コードレス、全て、潜伏期間 > 5年 |
集団 28 | コードレス、全て、潜伏期間 > 10年 |
集団 29 | コードレス、≤ 183時間、潜伏期間 > 1年 |
集団 30 | コードレス、≤ 183時間、潜伏期間 > 5年 |
集団 31 | コードレス、≤ 183時間、潜伏期間 > 10年 |
集団 32 | コードレス、< 183時間、潜伏期間 > 1年 |
集団 33 | コードレス、< 183時間、潜伏期間 > 5年 |
集団 34 | コードレス、< 183時間、潜伏期間 > 10年 |
集団 35 | アナログ、脳半球、同側 |
集団 36 | デジタル、脳半球、同側 |
集団 37 | コードレス、脳半球、同側 |
集団 38 | アナログ、脳半球、反対側 |
集団 39 | デジタル、脳半球、反対側 |
集団 40 | コードレス、脳半球、反対側 |
集団 41 | アナログ、側頭部、同側 |
集団 42 | デジタル、側頭部、同側 |
集団 43 | コードレス、側頭部、同側 |
集団 44 | アナログ、側頭部、反対側 |
集団 45 | デジタル、側頭部、反対側 |
集団 46 | コードレス、側頭部、反対側 |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 1,617 | - |
連絡担当者 | 1,617 | 1,617 |
参加者 | 1,429 | 1,470 |
参加率 | 88 % | 91 % |
結果は、アナログ携帯電話使用についての脳腫瘍のリスク上昇を示したが、デジタル携帯電話またはコードレス電話については示さなかった。アナログ及びデジタル携帯電話の同側ユーザーで、脳腫瘍のリスクが上昇し、コードレス電話のユーザーでもリスクは上昇したが、有意ではなかった。
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