この研究は、英国の中年女性(791,710人)の前向きコホート「100万人の女性調査」を用いて、携帯電話使用と頭蓋内中枢神経系(CNS)腫瘍およびその他のがんとの関連を調査した。Cox回帰モデルで相対リスク(RR)を計算した。参加者は1999-2005年に携帯電話使用状況を回答した(ベースライン調査)。また、2009年に、回答者の一部を対象に使用状況のフォローアップを実施し、使用者についてはベースライン調査との一貫性を概ね確認した(但し、ベースラインで非使用と回答した人の約半数が使用者に変わっていた)。結果として、7年間のフォローアップ期間中に51680例の浸潤がんと1261例の頭蓋内CNS腫瘍が発生した;ベースライン調査での「使用者」群と「非使用者」群での発生を比較した相対リスクは、全頭蓋内腫瘍(RR=1.01, 95% CI=0.90-1.14, P=0.82)およびCNS腫瘍の特定のタイプ、頭蓋内以外の18部位のがんで上昇を示さなかった;「10年以上の使用者」群において、神経膠腫(RR=0.78, 95% CI=0.55-1.10, P=0.16)または髄膜腫(RR=1.10, 95% CI=0.66-1.84, P=0.71)に関連は見られなかった;一方、「10年以上の使用者」群において聴神経鞘腫のリスク上昇が見られ(RR=2.46, 95% CI=1.07-5.64, P=0.03)、使用期間と共にリスク上昇が大きくなった(傾向性の検定P=0.03)ものの、この期間の全国での発症率には上昇は見られなかった、と報告している。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 携帯電話使用:経験なし |
集団 2 | 携帯電話使用:経験あり |
集団 3 | 携帯電話使用:日常的 |
集団 4 | 使用期間: ≥ 10年 |
タイプ | 値 |
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合計 | 1,300,000 |
適格者 | 791,710 |
7年間のフォローアップ中、791710人の中年女性に、侵襲性のがん51680例、非侵襲性のCNS腫瘍562例が生じた。
携帯電話を使用したことがない女性と比較した、使用したことがある女性では、頭蓋内のCNS腫瘍全体(RR 1.01, CI 0.90-1.14)特定のCNS腫瘍、及びその他の18の特定部位のがんについて、リスクは上昇していなかった。長期ユーザーでは使用したことがない人々と比較して、神経膠腫(≥ 10年:RR 0.78、0.55-1.10)または髄膜腫(≥ 10年:RR 1.10、CI 0.66-1.84)についての明らかな関連はなかった。聴神経鞘腫については、長期ユーザーでは使用したことがない人々と比較してリスクが高く(≥ 10年:RR 2.46、CI 1.07-5.64)、そのリスクは使用期間とともに上昇した(ユーザー間の傾向、P 0.03)。国の発生率データは、イングランドにおける1998-2008年の20-79歳の男女いずれにおいても、聴神経鞘腫の発生率の全体的な上昇はないことを示した。
著者らは、この大規模前向き研究では、携帯電話使用は神経膠腫、髄膜腫またはCNS以外のがんと関連していなかった、と結論付けた。
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