この研究は、著者らが以前に行った脳腫瘍の症例対照研究(2007-2009年に診断された、18-75歳の脳腫瘍症例群と1症例に対し人口ベースで性・年齢をマッチさせた1対照を選出して設定した対照群。ばく露評価は質問票による)から、髄膜腫症例709人と利用可能な全ての対照1368人の質問票の回答を、条件なしのロジスティック回帰分析を行った。携帯電話の使用の全体では、オッズ比(OR)= 1.0、95%信頼区間(CI)= 0.7-1.4であり、コードレス電話使用では、OR = 1.1、95% CI = 0.8-1.5であった;リスクは、累積使用時間(100時間刻み)により統計的に有意に上昇した;全ての電話の累積使用時間の4分位法の第4分位(>2376 時間)でORは最も高かった、などを報告している。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 非ばく露 |
集団 2 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 3 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 4 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 5 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 6 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 7 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 8 | アナログ携帯電話の潜伏期間 ≥ 25年 |
集団 9 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 10 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 11 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 12 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 13 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 14 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 15 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 ≥ 25年 |
集団 16 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 17 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 18 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 19 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 20 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 21 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 22 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 ≥ 25年 |
集団 23 | 携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 24 | 携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 25 | 携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 26 | 携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 27 | 携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 28 | 携帯電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 29 | 携帯電話の潜伏期間 ≥ 25年 |
集団 30 | コードレス電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 31 | コードレス電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 32 | コードレス電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 33 | コードレス電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 34 | コードレス電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 35 | コードレス電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 36 | コードレス電話の潜伏期間 ≥ 25年 |
集団 37 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 1年 |
集団 38 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 39 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 40 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 41 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 42 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 43 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 ≥ 25年 |
集団 44 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 45 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 46 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 47 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 48 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 49 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 50 | ワイヤレス電話の潜伏期間 ≥ 25年 |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 1,039 | 1,601 |
連絡担当者 | 920 | - |
参加者 | 814 | 1,368 |
参加率 | 88 % | 85 % |
携帯電話使用(OR 1.0、CI 0.7-1.4)またはコードレス電話使用(OR 1.1、CI 0.8-1.5)と髄膜腫との全体的な関連は認められなかった。累積使用時間が100時間毎にリスクは統計的に有意に上昇し、全ての種類の電話についての累積使用の第4四分位値(> 2376時間)で最も高いOR(1.4、CI 0.9-2.0)が認められた。同側での携帯電話またはコードレス電話使用、側頭葉での髄膜腫、または潜伏期間については、統計的に有意なリスク上昇は認められなかった。腫瘍の体積は潜伏期間またはワイヤレス電話の累積使用時間と関連していなかった。
著者らは、携帯電話及びコードレス電話の使用と髄膜腫との決定的な証拠は認められなかった、と推論した。累積使用時間が最も高いグループにおいてリスク上昇の兆候が認められたが、これは潜伏期間に伴う統計的に有意なリスク上昇によって支持されなかった。
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