【背景】前庭神経鞘腫は、携帯電話からの無線周波電磁界エネルギーの大部分が吸収される脳の領域に発生する。目的と【方法】2つのデンマークの全国規模のコホート研究を用いた。一つは、1995年以前において携帯電話に加入した全ての成人のデンマーク人コホート、もう一つは、社会的・人口統計学的要因とがんリスクに関するコホートである。我々は、この両方のコホートに含まれた対象者における前庭神経鞘腫の発生数を2006年まで追跡した。【結果】対象者290万人を取り込んだこの調査において、≧11年の携帯電話の長期加入は男性の前庭神経鞘腫のリスク上昇に関連しなかった(相対リスク推定値0.87、95%信頼区間:0.52-1.46)。女性では、1.6人の期待値に対し、長期加入者における前庭神経鞘腫症例の発生はなかった。デンマーク人の大多数は右耳に携帯電話を当てることを申告しているが、前庭神経鞘腫が頭部の右側により多く発生していなかった。男性の長期加入者における前庭神経鞘腫の大きさは、期待値より大きくはなかった。【結論】全体として、携帯電話使用が前庭神経鞘腫のリスクに関連することを示す証拠は見出されなかった。前庭神経鞘腫の進行は通常遅く、診断まで時間がかかる可能性があるため、さらに監視することが必要である。
一方のコホートは、1982-1995年に携帯電話に加入していた全てのデンマークの成人を含む(n=420095)。もう一方のコホートは、社会人口統計学的要因及びがんリスクについてのデータを含む、1925-1976年に生まれた全ての住民で構成される(n=288万人)。個人認識番号を介して2つのコホートをリンクさせることで、288万人の全国コホートの各被験者を、長期的な携帯電話ユーザー(最初の加入が11年以上前)あるいは非ユーザー及び短期的ユーザーに分類した。
長期的な携帯電話加入は、最初の加入が11年以上前と定義した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 非ユーザー(加入なし、または11年未満) |
集団 2 | 長期加入のユーザー(最初の加入が11年以上前) |
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 2,883,665 |
22884931人-年のフォローアップ
コホート内では合計で男性の症例404人、女性の症例402人が前庭神経鞘腫と診断された。
290万人の被験者を含む本研究の結果は、11年以上の長期間の携帯電話加入は、男性における前庭神経鞘腫のリスク上昇と関連していないことを示した(RR 0.87 CI 0.52-1.46)。女性では長期間の加入者に症例はいなかった。大多数のデンマーク人は携帯電話を右耳にあてがうと報告したが、前庭神経鞘腫は頭部の右側でより多く生じていなかった。男性の長期間の加入者における腫瘍は予想ほど大きくなかった。
著者らは、全体として、携帯電話使用が前庭神経鞘腫のリスクと関連しているという証拠は認められなかった、と結論付けた。前庭神経鞘腫は通常、成長が緩慢であり、診断の遅れがあったかも知れないので、更なる調査が必要である。
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