研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[2000-2003年に診断された患者における携帯電話およびコードレス電話と聴神経鞘腫または髄膜腫のリスクに関する症例対照研究] epidem.

Case-Control Study on Cellular and Cordless Telephones and the Risk for Acoustic Neuroma or Meningioma in Patients Diagnosed 2000-2003

掲載誌: Neuroepidemiology 2005; 25 (3): 120-128

この研究は、携帯電話およびコードレス電話の使用と脳腫瘍リスクに関する症例対照研究である。分析の対象としたのは、良性脳腫瘍症例413人(参加率89 %:内訳は髄膜腫305、聴神経腫84、他のタイプ24)および対照692人(同84 %)のデータである。結果として、髄膜腫の場合、アナログ電話使用者でのオッズ比OR)は1.7、95 %信頼区間(CI)= 0.97-3.0であった;これらの使用者の使用年数を10年以上に限定した場合、OR = 2.1に増加、95 %CI = 1.1-4.3となった;また、デジタル携帯電話およびコードレス電話使用者でのリスクもある程度上昇した;聴覚神経腫の場合、アナログ電話使用者でのOR = 4.2(95 %CI = 1.8-10)、15年以上の使用者では少数に基づく結果となったが、OR = 8.4(95 %CI = 1.6-45)に上昇した;デジタル電話はOR = 2.0(95 %CI = 1.05-3.8)であったが、コードレス電話ではORの有意な上昇はなかった、と報告している。

研究の目的(著者による)

スウェーデンにおいて携帯電話またはコードレス電話の使用と脳腫瘍リスクについての症例対照研究を実施した。

詳細情報

本研究は良性脳腫瘍、主に髄膜腫及び聴神経鞘腫についての結果を報告しており、悪性脳腫瘍についての結果は publication 12259 で報告している。
診断前の1年以内に携帯電話またはコードレス電話の使用を開始した被験者は非ばく露群に分類した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非ばく露
集団 2 アナログ、潜伏期間 > 1 - 5年
集団 3 アナログ、潜伏期間 > 5 - 10年
集団 4 アナログ、潜伏期間 > 10年
集団 5 アナログ、全体、潜伏期間 > 1年
集団 6 アナログ、≤ 80時間、潜伏期間 > 1 - 5年
集団 7 アナログ、≤ 80時間、潜伏期間 > 5 - 10年
集団 8 アナログ、≤ 80時間、潜伏期間 > 10年
集団 9 アナログ、≤ 80時間、全体、潜伏期間 > 1年
集団 10 アナログ、> 80時間、潜伏期間 > 1 - 5年
集団 11 アナログ、> 80時間、潜伏期間 > 5 - 10年
集団 12 アナログ、> 80時間、潜伏期間 > 10年
集団 13 アナログ、> 80時間、全体、潜伏期間 > 1年
集団 14 デジタル、潜伏期間 > 1 - 5年
集団 15 デジタル、潜伏期間 > 5 - 10年
集団 16 デジタル、潜伏期間 > 10年
集団 17 デジタル、全体、潜伏期間 > 1年
集団 18 デジタル、≤ 64時間、潜伏期間 > 1 - 5年
集団 19 デジタル、≤ 64時間、潜伏期間 > 5 - 10年
集団 20 デジタル、≤ 64時間、潜伏期間 > 10年
集団 21 デジタル、≤ 64時間、全体、潜伏期間 > 1年
集団 22 デジタル、> 64時間、潜伏期間 > 1 - 5年
集団 23 デジタル、> 64時間、潜伏期間 > 5 - 10年
集団 24 デジタル、> 64時間、潜伏期間 > 10年
集団 25 デジタル、> 64時間、全体、潜伏期間 > 1年
集団 26 コードレス、潜伏期間 > 1 - 5年
集団 27 コードレス、潜伏期間 > 5 - 10年
集団 28 コードレス、潜伏期間 > 10年
集団 29 コードレス、全体、潜伏期間 > 1年
集団 30 コードレス、≤ 243時間、潜伏期間 > 1 - 5年
集団 31 コードレス、≤ 243時間、潜伏期間 > 5 - 10年
集団 32 コードレス、≤ 243時間、潜伏期間 > 10年
集団 33 コードレス、≤ 243時間、全体、潜伏期間 > 1年
集団 34 コードレス、> 243時間、潜伏期間 > 1 - 5年
集団 35 コードレス、> 243時間、潜伏期間 > 5 - 10年
集団 36 コードレス、> 243時間、潜伏期間 > 10年
集団 37 コードレス、> 243時間、全体、潜伏期間 > 1年

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 462 820
参加者 413 692
参加率 89 % 84 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

症例123人(29.8%)及び対照233人(33.7%)が、携帯電話またはコードレス電話を使用していなかったと報告した。
聴神経鞘腫リスク上昇とアナログ携帯電話の使用との関連が認められた。髄膜腫については、リスクは僅かに上昇したが、これは少ない数に基づいていた。

研究助成

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