この研究は、デンマークとスウェーデンにおいて実施された、「携帯電話の長期使用が耳下腺腫瘍のリスク上昇に関連する」という仮説の検証するための人口ベースの症例対照研究である。両国は、1980年代後半に手持ち型携帯電話が導入されたので、両国の人口集団はこの仮説の検証に適していると述べている。デンマークおよびスウェーデンの特定の地域で、2000〜2002年に耳下腺腫瘍と診断されたすべての症例(20〜69歳)を同定した。対照は、調査母集団から無作為抽出された。携帯電話使用に関する詳細情報は、悪性耳下腺腫瘍症例60(回答率85 %)、良性多形性腺腫症例112(同88 %)、および対照681(同70 %)から収集された。悪性腫瘍および良性腫瘍についての携帯電話の通常使用のリスク推定値は、使用期間に関係なく、それぞれ0.7(95 %信頼区間0.4 - 1.3)および0.9(95 %信頼区間0.5 - 1.5)であった;携帯電話の使用期間が10年以上の場合も、結果は同様であった;電話の種類や使用量に関係なく、リスク推定値は増加しなかった;以上の知見は、携帯電話の使用は耳下腺腫瘍のリスク上昇に関連しているという仮説を支持していない、と報告している。
携帯電話の定常的使用は、診断の1年前に6か月以上にわたって平均で週1回使用と定義した。
本研究は、インターフォン・プロジェクトのデンマーク及びスウェーデンのパート(publications 11887、10496、11648、及び 9105)に基づいている。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 使用歴なし、または非定常的に使用 |
集団 2 | 定常的に使用 |
集団 3 | 使用期間:< 5 年 |
集団 4 | 使用期間:5-9 年 |
集団 5 | 使用期間:≥ 10 年 |
集団 6 | 最初の定常的使用からの期間:< 5 年 |
集団 7 | 最初の定常的使用からの期間:5-10 年 |
集団 8 | 最初の定常的使用からの期間:≥ 10 年 |
集団 9 | 累積使用:< 30 時間 |
集団 10 | 累積使用:30-449 時間 |
集団 11 | 累積使用:≥ 450 時間 |
集団 12 | 累積通話件数:≤ 624 |
集団 13 | 累積通話件数:625-7349 |
集団 14 | 累積通話件数:≥ 7350 |
参照集団 15 | 同側ばく露:使用なし、または反対側使用 |
集団 16 | 同側ばく露:定常的使用 |
参照集団 17 | 反対側使用:使用なし、または同側使用 |
集団 18 | 反対側使用:定常的使用 |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 199 | 966 |
参加者 | 172 | 681 |
参加率 | 85 % | 70 % |
使用期間にかかわらず、携帯電話の定常的使用と耳下腺腫瘍のリスク上昇との関連は認められなかった。使用の総量についても、農村部または都市部での主な使用についても、リスク推定値は上昇しなかった。デジタル及びアナログ携帯電話使用について個別に分析したところ、リスク上昇は認められなかった。
結果は、携帯電話から発せられる電磁界へのばく露が悪性または良性の唾液腺腫瘍のリスクを高めるという仮説を支持していない。
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