この研究は、2007-2009年に診断された悪性脳腫瘍と無線電話(携帯電話およびコードレス電話)の使用との関連についての症例対照研究である。症例はがん登録から1601例を同定し、症例と同数の対照を人口登録から症例にマッチさせて選出した(症例と同性で5歳差以内)。同定された症例の内、死亡、重篤、医師の不許可などの症例を除外した結果、683症例に自記式質問票を郵送した。一方、対照については、全対照に郵送した。全対照群を用いて、性、年齢、診断年、社会経済的指標を調整した条件無しのロジスティック回帰分析を行った。その結果、参加率は、症例87% (n=593) 、対照85% (n=1,368) であった;アナログ電話使用のオッズ比(OR)は 1.8(95% 信頼区間(CI)=1.04-3.3)、使用期間>25年ではOR=3.3、95% CI=1.6-6.9であった;第2世代デジタル電話では、OR=1.6, 95% CI=0.996-2.7、使用期間>15-20年ではOR=2.1、95% CI=1.2-3.6であった;コードレス電話では、OR=1.7、95% CI=1.1-2.9、使用期間>15-20年ではOR=2.1、95% CI=1.2-3.8であった、などを報告している。
この症例対照研究の髄膜腫についての結果は、 Carlberg他(2013) で発表されている。
非ばく露群は次のように定義した:携帯電話またはコードレス電話使用なし、または最初の使用から診断年まで1年未満、または累積使用が39時間未満。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 非ばく露 |
集団 2 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 3 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 4 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 5 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 6 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 7 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 8 | アナログ携帯電話の潜伏期間 > 25年 |
集団 9 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 10 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 11 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 12 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 13 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 14 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 15 | デジタル(2G)携帯電話の潜伏期間 > 25年 |
集団 16 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 17 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 18 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 19 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 20 | digital (3G) mobile phone > 15- to 20-year latency period |
集団 21 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 22 | デジタル(3G)携帯電話の潜伏期間 > 25年 |
集団 23 | 携帯電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 24 | 携帯電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 25 | 携帯電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 26 | 携帯電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 27 | 携帯電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 28 | 携帯電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 29 | 携帯電話の潜伏期間 > 25年 |
集団 30 | コードレス電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 31 | コードレス電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 32 | コードレス電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 33 | コードレス電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 34 | コードレス電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 35 | コードレス電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 36 | コードレス電話の潜伏期間 > 25年 |
集団 37 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 1年 |
集団 38 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 39 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 40 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 41 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 42 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 43 | デジタル電話(2G、3G及び/またはコードレス電話)の潜伏期間 > 25年 |
集団 44 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 1年 |
集団 45 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 1-5年 |
集団 46 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 5-10年 |
集団 47 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 10-15年 |
集団 48 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 15-20年 |
集団 49 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 20-25年 |
集団 50 | ワイヤレス電話の潜伏期間 > 25年 |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 1,334 | 1,601 |
連絡担当者 | 683 | - |
参加者 | 593 | 1,368 |
参加率 | 87 % | 85 % |
アナログ携帯電話使用について、悪性脳腫瘍のリスク上昇が認められ(OR 1.8、CI 1.04-3.3)、潜伏期間が > 25年で上昇した(OR 3.3、CI 1.6-6.9)。2Gデジタル携帯電話使用についてのリスク上昇が認められ(OR 1.6、CI 0.996-2.7)、潜伏期間が > 15-20年で上昇した(OR 2.1, CI 1.2-3.6)。コードレス電話使用についてもリスク上昇が認められた(OR 1.7、CI 1.1-2.9;潜伏期間が > 15-20年:OR 2.1、CI 1.2-3.8)。デジタル携帯電話及びコードレス電話の使用は潜伏期間が > 1-5年でリスク上昇を示し、それ以上の潜伏期間のグループではリスクが低下したが、> 15-20年ではリスクが再び上昇した。デジタル携帯電話及びコードレス電話の同側使用は反対側使用よりも高いリスクを生じた。側頭葉及び重複する葉での脳腫瘍で、より高いオッズ比が計算された。
著者らは、本研究は悪性脳腫瘍と携帯電話及びコードレス電話使用との関連についての先行研究の結果を確認した、と結論付けた。これらの知見は、発がんのイニシエーション及びプロモーション段階でRF電磁界が役割を担っているという仮説に対する支持を与えている。
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