研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話及びコードレス電話の使用と非ホジキンリンパ腫のリスク] epidem.

Use of cellular or cordless telephones and the risk for non-Hodgkin's lymphoma

掲載誌: Int Arch Occup Environ Health 2005; 78 (8): 625-632

この研究は、携帯電話およびコードレス電話の使用と非ホジキンリンパ腫NHL)の発症リスクとの関連性を調査した症例対照研究である。1999年12月1日から2002年4月30日までを調査期間とし、スウェーデンに住む18〜74歳の男性と女性の症例910人(参加率91%)および国民人口登録から選出された対照1016人(同92%)の質問票回答を分析した。さまざまな薬剤へのばく露も質問票を用いて評価した。その結果、B細胞型NHLは、携帯電話またはコードレス電話の使用と関連しなかった;T細胞型NHLで、かつ潜伏期間が5年超の場合、アナログ携帯電話使用のオッズ比OR) = 1.46、95 %信頼区間(CI)= 0.58-3.70であり、デジタル電話使用のOR = 1.92、95 %CI = 0.77-4.80、コードレス電話使用のOR = 2.47、95 %CI = 1.09-5.60であった;少数例での分析であるため、慎重に解釈する必要がある、と報告している。

研究の目的(著者による)

携帯電話またはコードレス電話の使用と非ホジキンリンパ腫リスクについて、スウェーデンにおいて人口ベース症例対照研究を実施した。

詳細情報

診断前の1年以内に携帯電話またはコードレス電話の使用を開始した被験者は非ばく露群に分類した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非ばく露
集団 2 アナログ、450 MHz、潜伏期間 > 1 年
集団 3 アナログ、450 MHz、潜伏期間 > 5 年
集団 4 アナログ、450 MHz、潜伏期間 > 10 年
集団 5 アナログ、900 MHz、潜伏期間 > 1 年
集団 6 アナログ、900 MHz、潜伏期間 > 5 年
集団 7 アナログ、900 MHz、潜伏期間 > 10 年
集団 8 全体、≤ 198時間、潜伏期間 > 1 年
集団 9 全体、≤ 198時間、潜伏期間 > 5 年
集団 10 全体、≤ 198時間、潜伏期間 > 10 年
集団 11 全体、> 198時間、潜伏期間 > 1 年
集団 12 全体、> 198時間、潜伏期間 > 5 年
集団 13 全体、> 198時間、潜伏期間 > 10 年
集団 14 デジタル、潜伏期間 > 1 年
集団 15 デジタル、潜伏期間 > 5 年
集団 16 デジタル、潜伏期間 > 10 年
集団 17 デジタル、≤ 91時間、潜伏期間 > 1 年
集団 18 デジタル、≤ 91時間、潜伏期間 > 5 年
集団 19 デジタル、≤ 91時間、潜伏期間 > 10 年
集団 20 デジタル、> 91時間、潜伏期間 > 1 年
集団 21 デジタル、> 91時間、潜伏期間 > 5 年
集団 22 デジタル、> 91時間、潜伏期間 > 10 年
集団 23 コードレス、潜伏期間 > 1 年
集団 24 コードレス、潜伏期間 > 5 年
集団 25 コードレス、潜伏期間 > 10 年
集団 26 コードレス、≤ 243時間、潜伏期間 > 1 年
集団 27 コードレス、≤ 243時間、潜伏期間 > 5 年
集団 28 コードレス、≤ 243時間、潜伏期間 > 10 年
集団 29 コードレス、> 243時間、潜伏期間 > 1 年
集団 30 コードレス、> 243時間、潜伏期間 > 5 年
集団 31 コードレス、> 243時間、潜伏期間 > 10 年

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 995 -
参加者 910 1,016
参加率 91 % 92 %
その他:

B細胞NHLの症例819人、T細胞NHLの症例53人、不特定30人

統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

携帯電話またはコードレス電話の使用に関連したB細胞非ホジキンリンパ腫リスク上昇は認められなかった。結果は、T細胞非ホジキンリンパ腫携帯電話またはコードレス電話の使用との関連を示した。

研究の限界(著者による)

T細胞非ホジキンリンパ腫についての結果は少ない数に基づいており、慎重に解釈すべきである。

研究助成

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