研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用と聴神経鞘腫:北欧5か国におけるインターフォン症例対照研究の結果] epidem.

Mobile phone use and risk of acoustic neuroma: results of the Interphone case-control study in five North European countries

掲載誌: Br J Cancer 2005; 93 (7): 842-848

この研究は、携帯電話の使用と聴神経リスクの関連を、共有プロトコルを用いて北欧4か国と英国の6つの集団で調査した症例対照研究である。聴神経腫症例678人および対照3553人から、個人インタビューによってデータが収集された。6つの調査集団をプールしたデータセットで分析を行った。その結果、通常の携帯電話使用に関連した聴覚神経腫のリスク上昇は見られなかった(オッズ比OR)= 0.9、95 %信頼区間(CI):0.7-1.1);電話使用全体での分析またはアナログまたはデジタル電話の使用を別々に分析した場合でも、使用期間、生涯の累積使用時間または通話回数はリスクと関連しなかった;自己申告された電話使用の頭側と同側の腫瘍リスクは、10年またはそれ以上の使用において上昇した(OR = 1.8、95 %CI:1.1-3.1);このような知見は、携帯電話の使用を開始してから最初の10年間に聴神経腫の実質的なリスクはないことを示しているが、より長期間の使用後のリスク上昇またはより長い潜伏期間を過ぎてからのリスク上昇は排除できない、と報告している。

研究の目的(著者による)

携帯電話使用に関連した聴神経鞘腫リスクを評価するため、フィンランド、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー及び英国の6つの人口ベース症例対照研究を実施した。これらはインターフォン研究の一部である。

詳細情報

携帯電話の定常的使用は、診断日の1年以上前に少なくとも6か月以上にわたって携帯電話を使用と定義した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 使用歴なし、または非定常的に使用
集団 2 定常的に使用
集団 3 使用頻度不明
集団 4 最初の使用からの年数:1.5-4
集団 5 最初の使用からの年数:5-9
集団 6 最初の使用からの年数:≥10
集団 7 最初の使用からの年数:不明
集団 8 生涯の使用年数:0.5-4
集団 9 生涯の使用年数:5-9
集団 10 生涯の使用年数:≥ 10
集団 11 生涯の使用年数:不明
集団 12 累積通話件数:< 2149
集団 13 累積通話件数:2149-8000
集団 14 累積通話件数:> 8000
集団 15 累積通話件数:不明
集団 16 累積使用時間:< 116
集団 17 累積使用時間:116-534
集団 18 累積使用時間:> 534
集団 19 累積使用時間:不明
集団 20 最初の使用からの年数による累積使用時間:< 10 年
集団 21 最初の使用からの年数による累積使用時間:≥ 10 年(< 90 時間)
集団 22 最初の使用からの年数による累積使用時間:≥ 10 年(≥ 90 時間)
集団 23 最初の使用からの年数による累積使用時間:不明
集団 24 アナログ電話使用
集団 25 デジタル電話使用
集団 26 腫瘍の側性と電話使用が同側
集団 27 腫瘍の側性と電話使用が反対側

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 827 8,460
参加者 678 3,553
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

携帯電話の定常的使用に関連した聴神経鞘腫リスク上昇はなかった。アナログとデジタル別では、使用期間、生涯の累積使用時間または通話件数とリスクとの関連は認められなかった。10年超の使用後のリスク上昇は排除できなかった。

研究助成

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