【目的】生誕の住所の高圧送電線からの距離と、小児の白血病及びその他のがんの発生率との間に関連があるかどうかを、イングランド及びウェールズにおいて判定することである。計画 :症例-対照研究。道具立て :がん登録及び英国National Gridの記録。対象者 :9700人の白血病も含む、がんになった29081人の児童記録。児童の年齢は0-14歳で、1962-95年の間でイングランド及びウェールズで生まれた。対照者は個々に、性別、近似の誕生日、誕生地区で照合された。調査者が無作為に選択した。主たる判定 :誕生時の家と、その当時に存在した最寄の高圧架空送電線との距離。【結果】誕生時に送電線から >600m の所に住んでいた児童に比べ、200m以内に住んでいた児童の白血病の相対リスクは 1.69 (95%信頼区間 1.13-2.53) であった。200から600mの間で生まれた児童の相対リスクは1.23(1.02-1.49)だった。送電線からの距離の逆数に対するリスクには、明らかな(P<0.01)傾向があった。その他の小児がんでは、送電線近接に対する過度のリスクは見出されなかった。【結論】小児白血病と、生家の高圧送電線との近接には関連性がある。かつ、その明白なリスクは、これまでの研究から予測されていたであろうよりも大きな距離にまで及ぶ。イングランド及びウェールズの児童の約4%が誕生時に高圧送電線から600m以内に住む。この予測は統計上かなりの不確かさを持つが、もし、上記の関連性が通常のものであるなら、イングランド及びウェールズの小児白血病の約1%がこれらの送電線に帰せられるであろう。この疫学研究結果を説明できる、一般に認知された生物学的メカニズムはまだない。それどころか、この関連性は偶然や混同による可能性もある。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | 出生時の住所から最も近い送電線までの距離:0-49m |
集団 2 | 出生時の住所から最も近い送電線までの距離:50-99m |
集団 3 | 出生時の住所から最も近い送電線までの距離:100-199m |
集団 4 | 出生時の住所から最も近い送電線までの距離:0-199m |
集団 5 | 出生時の住所から最も近い送電線までの距離:200-299m |
集団 6 | 出生時の住所から最も近い送電線までの距離:300-399m |
集団 7 | 出生時の住所から最も近い送電線までの距離:400-499m |
集団 8 | 出生時の住所から最も近い送電線までの距離:500-599m |
集団 9 | 出生時の住所から最も近い送電線までの距離:200-599m |
参照集団 10 | 出生時の住所から最も近い送電線までの距離:≥ 600m |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 33,000 | - |
評価可能 | 29,081 | 29,081 |
白血病の症例9700人
症例及び対照の97%が、出生時に最も近い送電線から600m以遠に住んでいた。出生時に送電線から600m以内に住んでいた子どもは、白血病の相対リスクが高かった。その他の小児がんについてはリスク上昇は認められなかった。
この結果を説明する生物学的に受容可能なメカニズムはない。この関連は偶然または交絡によるものかも知れない。
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