【背景】本研究では、磁界ばく露と小児脳腫瘍に関する研究結果の均質性を評価し、異質の原因を調べ、統合リスク推定値を引き出すことを目的として、研究のメタ分析を行った。また小児脳腫瘍と小児白血病の研究結果を比較することは、小児白血病研究における選択バイアスの可能性の評価にも役立つと思われる。【方法】本研究では、13研究の結果を分析した。分散の逆数重み付け法を用い、距離・ワイヤーコード・磁界測定値および計算値のそれぞれについて統合リスク推定値を計算した。個々の研究の影響、選択バイアス潜在性、出版バイアス可能性を評価するために、感度分析を行った。【結果】ワイヤーコードの場合を除いて、結果は全研究で均質性があり統合可能であった。統合オッズ比(95%信頼区間)は、距離<50mでは0.88(0.57-1.37)、0.2μTを超える磁界計算値または測定値では1.14(0.78-1.67)であった。0.3μTまたは0.4μTを超える磁界計算値または測定値では1.68(0.83-3.43)であり、統合オッズ比にばく露評価方法による差異はなかった。単独で統合推定値に重大な影響を及ぼした研究はなかった。また出版バイアスは示されなかった。【結論】高いカットポイント (0.3/0.4μT)での分析で中程度のリスク増加可能性が排除できなかったこと以外は、いずれのばく露指標においても小児脳腫瘍リスク増加は明白ではなかった。
結果の均一性を評価し、推定される影響を導出するため、磁界ばく露と小児の脳のがんについての研究のメタ分析を実施した。更に、小児白血病と小児の脳のがんの研究からの結果を比較することで、小児白血病研究における選択バイアスの潜在的可能性を評価した。
13報の研究をメタ分析に含めた:7報は欧州(Feychting他(1993)、Olsen他(1993)、Verkasalo他(1993)、Tynes他(1997)、英国小児がん研究グループ(1999)、Schüz他(2001)、 Draper他(2005))、4報は米国(Wertheimer他(1979)、Savitz他(1988)、Gurney他(1996)、Preston-Martin他(1996)))、2報はアジア(Lin、要約は英語、論文は中国語(1989)及び Saito、国際シンポジウムで論文発表(2003))で実施された。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | ワイヤ・コード電流配置:低い |
集団 2 | ワイヤ・コード電流配置:高い |
集団 3 | ワイヤ・コード電流配置:非常に高い |
参照集団 4 | 磁界ばく露:< 0.2 µT |
集団 5 | 磁界ばく露:≥ 0.2 µT |
集団 6 | 磁界ばく露:> 0.3 µT |
集団 7 | 磁界ばく露:> 0.4 µT |
いずれの分析でも、居住環境磁界の各種のばく露評価に関連した、小児の脳のがんのリスクの統計的に有意な上昇は認められなかった。0.3または0.4µTよりも高い磁界について推定される影響は有意に上昇しなかったが、分析は少ない数に基づいていた。どの単一の研究も、推定される影響に対して相当の影響を示さなかった。出版バイアスの兆候はなかった。
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