【背景】疫学的証拠は、慢性的な低レベルの超低周波磁界へのばく露が小児白血病のリスク上昇と関連することを示唆するが、その関連が因果的であることは確かとはされていない。【方法】英国における小児がんリスクとその小児の出生時の住所での高圧架空送電線からの1年間の平均磁界との関連についての症例対照研究。平均磁界は、National Gridの記録から推定した。 英国小児腫瘍登録から、EnglandとWalesで1962-1995間に出生し、英国内で15歳以下の時に小児がんと診断された28, 968名の小児の記録を入手した。対照は、性別、出生時期(6ヶ月の範囲内で一致)、出生登録地域を個体マッチングさせて、出生登録から選出した。症例および対照の参加を要することはなかった。【結果】磁界の0.2μT刻みの上昇に対する相対リスク(RR)推定値は、白血病の場合1.14 (95%信頼区間 0.57-2.32)、脳および中枢神経系腫瘍の場合0.80 (0.43-1.51)、その他のがんの場合1.34 (0.84-2.15)であった。【結論】統計学的有意性はないが、小児白血病に関する推定値は、これまでの同様の研究の結果と同じようである。仮に因果関係があるとすると、寄与リスク推定値は1年当たり1症例を下回る。以前に、我々は架空送電線からの距離との関連を報告したが、その関連の原因が全て出生年の磁界ばく露にあるとはとても考えられない。
Draper他(2005)が発表した、小児がんと電力線からの磁界との関連を調査した症例対照研究を、別のばく露評価手法を適用して再分析した。引用した研究では、ばく露評価は出生時の住居の住所から電力線までの距離に基づいていたが、本研究では、出生時の住所の磁界を各々の子どもについて計算した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 出生時の住所での磁界推定値: < 0.1 µT |
集団 2 | 出生時の住所での磁界推定値: 0.1 - < 0.2 µT |
集団 3 | 出生時の住所での磁界推定値: 0.2 - < 0.4 µT |
集団 4 | 出生時の住所での磁界推定値: ≥ 0.4 µT |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 31,273 | - |
評価可能 | 28,968 | 28,968 |
58162軒の住居のうち57704軒で、計算した磁界は0.1µT未満であった。
磁界が0.2µT増加するごとの相対リスクの推定値は、白血病について1.14(CI 0.57-2.32;症例8人、対照6人)、中枢神経系/脳の腫瘍について0.80(CI 0.43-1.51;症例4人、対照7人)、その他のがんについて1.34(CI 0.84-2.15;症例11人、対照9人)であった。
統計的に有意ではないものの、この結果は、磁界へのばく露と小児白血病との関連についての既存の証拠をわずかに強めている。但し、出生年の磁界へのばく露が、出生時の住所から電力線までの距離に基づく先行の症例対照研究で認められた、小児白血病のリスクにおける見かけ上の上昇の全ての原因であるということは極めてありそうにない。著者らは、英国では電力線からの高い磁界にばく露される住居は非常に少ないことを強調している。因果関係を仮定すると、推定された寄与リスクは、年あたりの小児白血病の症例1人未満となる。
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