この論文は、これまでに報告された商用周波磁界と小児白血病の疫学研究が調査を行った地域の地磁気レベルと報告されたオッズ比の関係を分析し、その地磁気レベルが小児白血病のオッズ比の修飾因子のようにみえるか否かを検討した。小児白血病の発症メカニズムに結びつく原因の一つとして、フリーラジカルを含む生物学的反応への磁界(静磁界、交番磁界)の影響が候補に挙げられているが、直接的にその影響を調べることは問題が多いため、その代わりに試験的にこのような検討を行ってみた、と述べている。その結果、地磁気が商用周波磁界の効果の修飾因子である可能性を示す証拠が若干見られたものの、限定的であり、統計学的に有意ではなかった、と報告している。
小児白血病についての疫学研究でほのめかされている、マイクロテスラ以下のレベルで有意な影響を生じ得る、磁界と生体系との相互作用についての生物物理学的メカニズムは未だ同定されていない。因果的つながりの候補となるメカニズムは、フリーラジカルに関する生物学的応答に対する磁界の影響である。それは、静磁界の変動ならびに変動磁界からの影響、ゆえに地表面の異なる位置での地磁気の変動による異なる結果を予測している。
本研究は、以下の11報の研究を含む Ahlbom他(2000)及び Kheifets他(2010)のプール分析に基づく:
Feychting他、1993(スウェーデン)、
Verkasalo他、1993(フィンランド)、
Linet他、1997(米国)、
Michaelis他、1997(ドイツ)、
McBride他、1999(カナダ)、
英国小児がん研究グループ、1999(英国)、
Schüz他、2001(ドイツ)、
Kabuto他、2006(日本)、
Malagoli他、2010(イタリア)、
Kroll他、2010(英国)、
及び Wünsch Filho他、2011(ブラジル)。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | 磁界ばく露 ≥ 0.3 µT、0.4 µT及び地磁気 |
手法上の疑問があるブラジルの研究を除いて、入手可能な全ての研究は緯度が比較的狭い範囲にあり、それゆえに地磁気もそうだったため、本分析は限定的である。調査した国々の間での地磁気の広がりは、一つの国の中での地磁気の一般的な乱れよりも大きくなかった。
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