<目的>公表された疫学研究の種々の結果から、影響の有無に統一性が見られないため、電気事業の協力を得てギリシャ全国大での疫学研究を実施する。 <方法>1993-1994年に発症した小児(0-14歳)白血病153例に対して、年齢・性別および居住環境で整合した対照を設定し、最終的に117の症例と202の対照を比較した。住居近傍の送電電圧は400、150、66、15-22、6.6および0.4kVに分類し、V/d、V/d^2、V/d^3とウエルトハイマ・リーパコードを適用して曝露評価を実施した。解析にはSAS 6.10を用い、条件付き論理回帰法によった。 <結果>表1は117症例と202対照を選定した根拠、表2は交絡因子の寄与と解析における排除状況そして表3は電力線からの距離分類におけるオッズ比と信頼区間の解析結果を示している。結果、曝露レベルの増大はリスクに変化を与えず、高いレベルの曝露もリスク上昇を起こさないため、電力線と小児白血病は相関が無いと思われるが、関連性全てを否定することはできない。
ばく露は、三つの電磁界尺度(二つの最も近い送電線の各々の電圧(U)を距離(d)で除したもの、電圧を距離の二乗で除したもの、電圧を距離の三乗で除したもの)を計算することで評価した。更に、ギリシャの状況に対応するワイヤ・コードの五つのカテゴリーを割当てた(400kV及び150kV送電線は「超高電圧」、66kVは「高電圧」、15-22kVは「中電圧」、6.6kVは「中‐低電圧」、0.4kVは「低電圧」)。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 電磁界尺度U/d:< 11.7 V/m |
集団 2 | 電磁界尺度U/d:11.7 - < 40 V/m |
集団 3 | 電磁界尺度U/d:40 - < 150 V/m |
集団 4 | 電磁界尺度U/d:150 - < 500 V/m |
集団 5 | 電磁界尺度U/d:≥ 500 V/m |
参照集団 6 | 電磁界尺度U/d²:< 0.4 V/m² |
集団 7 | 電磁界尺度U/d²:0.4 - < 2.3 V/m² |
集団 8 | 電磁界尺度U/d²:2.3 - < 4.2 V/m² |
集団 9 | 電磁界尺度U/d²:4.2 - < 25 V/m² |
集団 10 | 電磁界尺度U/d²:≥ 25 V/m² |
参照集団 11 | 電磁界尺度U/d³:< 0.02 V/m³ |
集団 12 | 電磁界尺度U/d³:0.02 - < 0.4 V/m³ |
集団 13 | 電磁界尺度U/d³:0.4 - < 0.5 V/m³ |
集団 14 | 電磁界尺度U/d³:0.5 - < 3.2 V/m³ |
集団 15 | 電磁界尺度U/d³:≥ 3.2 V/m³ |
集団 16 | ワイヤ・コード:超高電圧 |
集団 17 | ワイヤ・コード:高電圧 |
集団 18 | ワイヤ・コード:中電圧 |
集団 19 | ワイヤ・コード:中‐低電圧 |
集団 20 | ワイヤ・コード:低電圧 |
症例 | 対照 | |
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適格者 | 153 | - |
参加者 | 153 | 245 |
評価可能 | 117 | 202 |
四つの異なるばく露尺度のいずれも、ばく露レベルの上昇に伴う小児白血病のリスク上昇についての統計的に有意な傾向性を示さなかった。著者らは、この結果は電力線への住居の近接度と小児白血病のリスクとの因果関係支持しないと結論付けている。
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