この研究は、高電圧送電線からの距離が300 m以内の住宅に居住することと、リンパ増殖性疾患(LPD)または骨髄増殖性疾患(MPD)のリスクとの関連を調べた症例対照研究である。症例は、1972年から1980年の間にタスマニアでLPDまたはMPD(白血病、リンパ腫および関連する病状を含む)と診断されたすべての症例854人(0 - 94歳)であり、対照は、症例と性別および年齢(診断時の)を個人マッチングさせた。オッズ比(OR)算出のための参照は、電力線から常に300 mを超える距離に居住していた人とした。その結果、LPDまたはMPD発症に対する50 m以内居住者のORは2.06(95 %信頼区間(CI)0.87 - 4.91)であった(これは、成人の症例対照ペア768人に基づいて算出された);50から300 mまでの距離の居住者のORは1.30(95 % CI: 0.88 - 1.91)であった;生涯の最初の15年間、送電線から300 m以内に居住した成人では、リスクが3倍に増加した(OR = 3.23、95 % CI:1.26-8.29);0〜5歳の時に同じ距離内に居住した成人では、リスクが5倍に増加した(OR = 4.74、95 % CI;0.98 - 22.9);完全なタスマニア居住歴を持つ201ペアについて分析を繰り返すと、これらの関連は強化された、と報告している。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | これまでの住居から電力線までの最も近い距離:> 300 m |
集団 2 | これまでの住居から電力線までの最も近い距離:51-300 m |
集団 3 | これまでの住居から電力線までの最も近い距離:0-50 m |
集団 4 | 電力線までの距離が0-300m:0-15歳 |
集団 5 | 電力線までの距離が0-300m:診断前の15年 |
集団 6 | 電力線までの距離が0-300m:あり vs. なし |
集団 7 | 電力線までの距離が0-300m、タスマニアのみで居住:0-15歳 |
集団 8 | 電力線までの距離が0-300m、タスマニアのみで居住:診断前の15年 |
集団 9 | 電力線までの距離が0-300m、タスマニアのみで居住:あり vs. なし |
集団 10 | 電力線までの距離が0-300m:0-5歳 |
集団 11 | 電力線までの距離が0-300m:6-17歳 |
集団 12 | 電力線までの距離が0-300m:≥ 18歳 |
集団 13 | 電力線までの距離が0-300m、タスマニアのみで居住:0-5歳 |
集団 14 | 電力線までの距離が0-300m、タスマニアのみで居住:6-17歳 |
集団 15 | 電力線までの距離が0-300m、タスマニアのみで居住:≥ 18歳 |
症例 | 対照 | |
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参加者 | 854 | 854 |
患者19人(2.2%)及び対照9人(1.1%)が送電線から50m以内、患者75人(8.8%)及び対照55人(6.5%)が51-300mの距離に住んだことがあった。
送電線から50m以内に住んだことがあった人々には、送電線から常に300m以遠に住んでいたグループと比較して、リンパ増殖性または骨髄増殖性疾患を発症するリスクの有意ではない上昇(OR 2.06、CI 0.87-4.91)が認められた。電力線から51-300mでの居住に関連したリスク上昇(OR 1.30、CI 0.88-1.91)も認められた。生まれてから15歳まで電力線から300m以内に住んでいた成人には、有意なリスク上昇(OR 3.23、CI 1.26-8.29)が認められ、生まれてから5歳まで同じ距離に住んでいた人々にはより高いリスク(OR 4.74、CI 0.98-22.9)が認められた。これらの関連は、タスマニアにしか住んだことがないマッチングしたペアについて、より強められた。
著者らは、この結果は、送電線の近くでの、特に人生の初期における長期間の居住は、リンパ増殖性及び骨髄増殖性疾患を発症するリスクを高めるかも知れない、という可能性を提起していると結論付けた。
分析に利用可能な被験者の数は少なかった。
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