【目的】高圧送電線近傍居住と小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)との関連を調べること。【方法】症例対照研究である。確定診断されたALL症例の小児300人(1-18歳)は、全てのがん照会指導センターから選出された。少なくとも過去2年間における架空高圧送電線近傍の居住歴についてインタビュー調査を行った。症例群は、性別とおおよその年齢についてマッチングされた300人の対照群と比較された。分析には必要に応じて、ロジスティック回帰分析、カイ二乗検定および対応有りt 検定を用いた。【結果】症例群の方が、有意に送電線により近い住居であった(P<0.001)。症例の半数以上は2種類または3種類の送電線にばく露されていた(P<0.02)。ロジスティック回帰分析によれば、最も近い送電線と住居との距離が600m以上のグループに比較した600m未満のグループのオッズ比は2.61(95%信頼区間:1.73-3.94)であった。123 KV送電線に関する同様の推定値は9.93(同:3.47- 28.5)、230 KV送電線に関しては10.78(同:3.75-31)、400 KV送電線に関しては2.98 (同:0.93-9.54)であった。最も近い送電線と住居との距離が600m増す毎にALLのオッズ比は0.61低下した。【結論】今回の研究は、高電圧送電線近傍居住はALLのリスクであることを強く示している。
送電線の近くに住むことが、小児の急性リンパ芽球性白血病のリスク上昇と関連しているかどうかを調査するため、イランにおいて症例対照研究を実施した。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | 住居から電力線までの距離: 0 - 599m |
集団 2 | 住居から電力線までの距離: 600 - 1199m |
集団 3 | 住居から電力線までの距離: 1200 - 1799m |
集団 4 | 住居から電力線までの距離: 1800 - 2399m |
集団 5 | 住居から電力線までの距離: ≥ 2400m |
症例 | 対照 | |
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参加者 | 300 | 300 |
急性リンパ芽球性白血病の子どもは対照群と比較して、電力線に有意により近くに住んでいた(P<0.001)。症例の過半数が2つまたは3つの電力線にばく露されていた(P<0.02)。
電力線まで600m未満の距離に住んでいた子どもには、統計的に有意なリスク上昇が認められた(OR 2.61、CI 1.73-3.94)。電力線の種類毎の個別分析は、123kV(OR 9.93、CI 3.47-28.5)230kV(OR 10.78、CI 3.75-31)及び400kV(R 2.98、CI 0.93-9.54)について、リスク推定値の上昇を示した。
著者らは、本研究は高圧電力線の近くに住むことは小児の急性リンパ芽球性白血病のリスクであることを強調している、と結論付けている。
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