この研究は、散発性の急性白血病(AL)の症例123人を対象とした症例のみの研究である。変電設備および送電線の位置を地域ごとに記録し、調査対象の症例の住宅からの距離を測定した。磁束密度(B)は66の症例で測定された。条件なしロジスティック回帰分析は、年齢、性別、親の教育および職業、屋内と屋外で殺虫剤の使用歴、子供部屋でのテレビ、冷蔵庫、電子レンジの存在、住宅から500 m以内の化学工場または電気通信送信機の存在を調整して行った。遺伝子環境分析の結果、XRCC1 Ex9 + 16 A対立遺伝子と住宅から100 m以内における変電設備および送電線の存在(平均B = 0.14 μT)との間に相互作用が見られた(相互作用オッズ比、COR = 4.31、95 %CI:1.54 - 12.08);住宅から50 m以内における変電設備および送電線の存在(平均B = 0.18 μT)については、XRCC1 Ex9 + 16 A対立遺伝子との相互作用のCORは4.39(95 %CI:1.42 - 13.54)であった;これらの知見は、小児のAL患者における変電設備および送電線とXRCC1 Ex9 + 16A対立遺伝子の関連の可能性を示唆している、と報告している。
グループ | 説明 |
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参照集団 1 | 住居から500m以内に変圧器及び電力線:なし |
集団 2 | 住居から500m以内に変圧器及び電力線:あり |
参照集団 3 | 住居から100m以内に変圧器及び電力線:なし |
集団 4 | 住居から100m以内に変圧器及び電力線:あり |
参照集団 5 | 住居から50m以内に変圧器及び電力線:なし |
集団 6 | 住居から50m以内に変圧器及び電力線:あり |
タイプ | 値 |
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合計 | 123 |
DNA修復遺伝子と環境との複合分析では、住宅から100m以内にある変圧器及び電力線と小児急性白血病の対立遺伝子XRCC1 Ex9+16Aの存在との間に、相互作用が存在することが示され(ケースオンリーOR 4.31、CI 1.54-12.08)、50m以内ではORは更に上昇した(ケースオンリーOR 4.39、CI 1.42-13.54)。変圧器及び電力線への近接度とDNA修復遺伝子のその他の遺伝子型との間には、有意な相互作用は認められなかった。
この結果は、小児急性白血病の患者では、変圧器及び電力線と対立遺伝子XRCC1 Ex9+16Aの存在との間に関連があるかも知れないことを示唆した。
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