背景と目的:居住環境における商用周波磁界は、国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトへの発がん性があるかもしれない」に分類された。一般公衆の大きな懸念に対応して、WHOは、日本のようなばく露が高い地域において一層の疫学研究を行うことを推進した。本研究は、日本の小児の54%の居住地域をカバーする人口ベースの症例対照研究である。方法: 1999-2001年 (2.3 年間) に、新規に急性リンパ芽球性白血病(ALL)または急性骨髄性白血病(AML)と診断された小児(0-15歳)の症例群312人、およびそれと性別、年齢、居住地域をマッチさせた対照群603人を分析した。小児の寝室における磁界の1週間の平均レベルを測定した。症例と対照一組毎の磁界測定は、季節変動の影響を受けないよう、できる限り間をおかずに実施した。結果:参照カテゴリー(寝室の磁界レベル:0.1μT以下)と比較した磁界レベルが0.4 μTまたはそれ以上の小児のオッズ比は、AML+ ALLについては2.6 (95%信頼区間:0.76-8.6)、ALL については4.7 (1.15-19.0)であった。交絡の可能性がある因子を調整しても結果に大きな変化はなかった。最大限の選択バイアスがあったとしても、なお関連性が残ることが示された。結論:今回の結果は、磁界ばく露の高い区分に属することは小児白血病(特にALL)のリスクが高くなることと関連するという証拠をもう一つ追加するものである。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 寝室の磁界レベル:0.1 μT 未満 |
集団 2 | 寝室の磁界レベル:0.1-0.2 μT |
集団 3 | 寝室の磁界レベル:0.2-0.4 μT |
集団 4 | 寝室の磁界レベル:0.4 μT超 |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 781 | - |
参加者 | 381 | 1,097 |
参加率 | 49 % | 29 % |
評価可能 | 312 | 603 |
ALLの症例251人、AMLの症例61人
0.4 μT を超える磁界にばく露されていたのは、312人の症例のうち僅か6人、対照603人のうち5人であった。寝室での磁界が 0.4 μT 超の子どもに、急性リンパ芽球性白血病及び急性骨髄性白血病のリスク上昇が認められた。更なるバイアス評価では、結果に具体的な差は認められなかった。
著者らは、この結果は偶然によるものかも知れないが、バイアスのみによるものではない、と見なした。
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