この研究は、イングランド南東部で実施された白血病と電力供給設備への住宅の近接性に関する人口ベース症例対照研究である。症例は白血病として登録された771人、がん患者対照1,432人は、リンパ腫を除く固形腫瘍として登録された人から、年齢、性別、診断年および居住地域を対照とマッチさせて選出された。また、一般人口対照として18歳以上の231人が、調査地域の一部から選出された。送電線および変電所からの電力周波磁界への居住環境ばく露の可能性を、調査対象者の住宅の近くのそれら設備の距離、種類および負荷から間接的に査定した。結果として、架空送電線から100m以内の居住は調査対象者のわずか0.6 %であった;がん対照に比較した、100m以内の居住による白血病の相対リスクは1.45(95 %信頼区間(CI)0.54 - 3.88)であった;50m以内居住の相対リスクは2.0であったが、信頼区間は広がった(95 %CI:0.4-9.0);変電所から100 m以内の居住は、調査対象者の40 %以上であった;それによる白血病の相対リスクは0.99であった; 25 m以内の居住の場合、相対リスクは1.3(95 %CI:0.8-2.0)であった;変電所の電流負荷で重み付けしたばく露指数を用いても、これらのリスク推定値は実質的に変わらなかった;18歳未満においては、変電所から50 m以内の居住による白血病の相対リスクは成人よりも高かった(PR = 1.5、95 %CI:0.7-3.4)、と報告している。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | 最も近い架空線からの距離:0 - 24 m |
集団 2 | 最も近い架空線からの距離:25 - 49 m |
集団 3 | 最も近い架空線からの距離:50 - 99 m |
参照集団 4 | 最も近い架空線からの距離:≥ 100 m |
集団 5 | 最も近い変電所からの距離:0 - 24 m |
集団 6 | 最も近い変電所からの距離:25 - 49 m |
集団 7 | 最も近い変電所からの距離:50 - 99 m |
参照集団 8 | 最も近い変電所からの距離:≥ 100 m |
集団 9 | 加重相対ばく露尺度:カテゴリー0(低) |
集団 10 | 加重相対ばく露尺度:カテゴリー1 |
集団 11 | 加重相対ばく露尺度:カテゴリー2 |
集団 12 | 加重相対ばく露尺度:カテゴリー3 |
集団 13 | 加重相対ばく露尺度:カテゴリー4(高) |
症例 | 対照 | |
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適格者 | 811 | 1,614 |
評価可能 | 771 | 1,432 |
231人の集団対象を追加
架空電力線の100m以内に住んでいた被験者は僅か0.6%であった。このグループ(症例7人、対照9人)について、統計的に有意ではない白血病のリスク上昇が認められた(RR 1.45、CI 0.54-3.88)。電力線の50m以内の住居は、症例3人及び対照3人に基づき、相対リスク2.0(CI 0.4-9.0)と関連していた。
被験者の40%超は変電所の100m以内に住んでいた。このグループにはリスク上昇は認められなかった。当該変電所による電流負荷に基づいて計算した荷重ばく露尺度は、これらのリスク推定値を実質的に変更しなかった。
変電所の50m以内に住んでいた18歳までの子どもについての個別の分析では、有意ではない相対リスクの上昇が認められた(RR 1.5、CI 0.7-3.4)。電力線の100m以内に住んでいた18歳未満は僅か症例1人、対照1人であったため、このグループについての分析は実施しなかった。
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