この研究は、住宅での0.2 μTを超える電源周波(50 Hz)磁界へのばく露が小児白血病リスクを増加させるか否か調査した。著者グループが先に実施したドイツの各地域での人口ベース症例対照研究(1997年)は、夜間のやや強い磁界へのばく露に伴う白血病リスク増加を報告した。今回の調査は、この知見の検証も目的としている。旧西ドイツ全土を対象とした人口ベースの症例対照研究をデザインした。ドイツの小児がん登録簿で特定された急性白血病の小児514人、人口登録ファイルから選出された対照の小児1,301人の住宅で、24時間磁界測定を実施した。その結果、0.2 μTを超える磁界は、ドイツでは比較的稀であった(調査対象集団の1.5 %);小児白血病と24時間磁界測定値の中央値は、弱い関連性のみを示した(OR = 1.55、95 %CI:0.65-3.67);小児白血病と夜間の磁界ばく露との間に有意な関連が見られた(OR = 3.21、95 %CI:1.33-7.80);磁界と小児白血病に関するすべてのドイツでの調査のデータをプール分析すると、量反応関係が観察された;我々の研究における小児白血病と磁界ばく露の関連の証拠は「夜間の磁界ばく露」という1つの尺度に由来する;我々の調査規模は大きいにも拘らず、得られた結果は少数のばく露小児に基づいたものであった;仮に、観察された関連が成り立つとしても、ドイツの人口レベルへの影響は小さいと考えられる、と報告している。
0.2µT超の居住環境磁界が子どもの白血病のリスクを高めるかどうかを調査するため、ドイツにおいて人口ベースの症例対照研究を実施した。先行研究(publication 1959 及び publication 975)の知見を確認または否定すべきである。
診断日の前の最も長い期間、子どもが住んでいた住居において、子どものベッドのマットレスの下及び居室で、24時間にわたって磁界へのばく露を測定した。ばく露は高(0.2µTかそれ以上)及び低(0.2µT未満)に分類した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 子どもの寝室での24時間測定の中央値:< 0.2 µT |
集団 2 | 子どもの寝室での24時間測定の中央値:≥ 0.2 µT |
集団 3 | 子どもの寝室での24時間測定の中央値:0.2 < 0.4 µT |
集団 4 | 子どもの寝室での24時間測定の中央値:≥ 0.4 µT |
参照集団 5 | 子どもの寝室での24時間測定の平均値:< 0.2 µT |
集団 6 | 子どもの寝室での24時間測定の平均値:≥ 0.2 µT |
集団 7 | 子どもの寝室での24時間測定の平均値:0.2 < 0.4 µT |
集団 8 | 子どもの寝室での24時間測定の平均値:≥ 0.4 µT |
参照集団 9 | 昼間の値:< 0.2 µT |
集団 10 | 昼間の値:≥ 0.2 µT |
集団 11 | 昼間の値:0.2 < 0.4 µT |
集団 12 | 昼間の値:≥ 0.4 µT |
参照集団 13 | 夜間の値:< 0.2 µT |
集団 14 | 夜間の値:≥ 0.2 µT |
集団 15 | 夜間の値:0.2 < 0.4 µT |
集団 16 | 夜間の値:≥ 0.4 µT |
症例 | 対照 | |
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適格者 | 847 | 2,127 |
連絡担当者 | 783 | 2,041 |
参加者 | 520 | 1,319 |
参加率 | 61 % | 62 % |
評価可能 | 514 | 1,301 |
本研究で中央値が0.2µT以上の磁界にばく露されていた子どもは僅か1.5%であった。
子どもの寝室での24時間測定の中央値が0.2µT以上(グループ6、7及び8)で、小児白血病のリスクは有意ではなく弱く上昇した。小児白血病と夜間の0.2µT以上の磁界ばく露(グループ14、15及び16)との有意な関連が認められた。
本研究における小児白血病yと磁界との関連についての証拠は、夜間の子どものばく露の測定に基づいている。著者らの先行研究の知見は確認された。
この結果はばく露された子どもの少ない数に基づいている。
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