<目的>小児脳腫瘍に関して実施中のインタビューによる症例-対照のスタイルの多 地点の国際疫学研究の米国での一つを利用して、磁界測定とW/L配線コード 調査を追加した研究をロスアンゼルス郡で行って、住居の小児脳腫瘍リスクと磁界曝露との相関の有無を明らかにする。<方法>両親についてイオン化放射と遺伝的素因等の既知のリスク因子への曝露を含め、職業と住居での磁界曝露履歴データを304名の症例からインタビューで収集した。この中から妊娠から子供の診断時まで同郡に居住した症例と、同数の対照群、総計596名の住居のマッピングとW/L配線コード調査を行った。対照群は性別と誕生年がマッチした者がディジットダイアリングで無作為に選ばれた。対象者はEMDEXメータでスポット測定及び35%の者では24時間の磁界測定も行った。配線コードは5段階とした。また両親の職業と教育から5段階の社会経済的地位を求め補正した。<結果>屋内で2mG以上の家庭は非常に少なかった。配線コードの段階と共に磁界測定値も変化したがVHコードの家庭でも、デンバーやスウェーデンの場合の約半分程度で24時間の平均は1.97mGであった。VHコードの家庭の90パーセンタイル以上では3mG以上になった。VLコードの家庭では平均0.76mGであった(表4)。脳腫瘍のリスクと屋内の磁界或いはW/Lコードとの有意な相関は認められなかった(表5,6)。家庭電気機器使用と脳腫瘍リスクとの関連もなかったが電気加熱水ベッドの母親の使用についてはオッズ比2.1[CI 1.0-4.2]という有意差として限界域の値が得られた(表7)。結論として脳腫瘍リスクと磁界測定値とW/Lコード及び家庭電気機器の使用との間には相関は見られないとされた。しかし著者は屋内で3又は4mGの住宅に限って解析した場合、脳腫瘍のリスクは増加しているようだが、対象者の数が余りにも少ないので推定値は不安定であると述べている(表8)。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | 子どもの部屋での24時間測定:> 0.2 µT |
集団 2 | 子どもの部屋での24時間測定:> 0.25 µT |
集団 3 | 子どもの部屋での24時間測定:> 0.3 µT |
集団 4 | その他の部屋での24時間測定:> 0.2 µT |
集団 5 | その他の部屋での24時間測定:> 0.25 µT |
集団 6 | その他の部屋での24時間測定:> 0.3 µT |
集団 7 | 玄関でのスポット測定:> 0.2 µT |
集団 8 | 玄関でのスポット測定:> 0.25 µT |
集団 9 | 玄関でのスポット測定:> 0.3 µT |
集団 10 | 外部の静磁界:0.332-0.477 µT |
集団 11 | 外部の静磁界:0.478-0.489 µT |
集団 12 | 外部の静磁界:0.490-0.503 µT |
集団 13 | 外部の静磁界:0.504-0.637 µT |
集団 14 | 内部の静磁界:0.303-0.468 µT |
集団 15 | 内部の静磁界:0.469-0.480 µT |
集団 16 | 内部の静磁界:0.481-0.497 µT |
集団 17 | 内部の静磁界:0.498-0.589 µT |
集団 18 | ワイヤ・コード:地下 |
集団 19 | ワイヤ・コード:非常に低い及び一般に低い電流配置(VLCC + OLCC) |
集団 20 | ワイヤ・コード:一般に高い電流配置(OHCC) |
集団 21 | ワイヤ・コード:非常に高い電流配置(VHCC) |
集団 22 | 妊娠中の使用:電気毛布 |
集団 23 | 妊娠中の使用:電気ウォーターベッド |
集団 24 | 妊娠中の使用:電気置時計 |
集団 25 | 妊娠中の使用:放射型電気ヒーター |
集団 26 | 妊娠中の使用:電子レンジ |
集団 27 | 妊娠中の使用:アマチュア無線 |
集団 28 | 子どもの使用:電気毛布 |
集団 29 | 子どもの使用:電気ウォーターベッド |
集団 30 | 子どもの使用:電気置時計 |
集団 31 | 子どもの使用:放射型電気ヒーター |
集団 32 | 子どもの使用:電子レンジ |
集団 33 | 子どもの使用:アマチュア無線 |
集団 34 | 子どもの使用:ヘアドライヤー |
集団 35 | 子どもの使用:カールアイロン |
集団 36 | 子どもの使用:白黒TV |
集団 37 | 子どもの使用:ベイビーモニター |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 437 | 433 |
連絡担当者 | 352 | 405 |
参加者 | 298 | 298 |
全体として、結果は、24時間測定、スポット測定、またはワイヤ・コード分類で評価した磁界へのばく露の増加に伴う、小児脳腫瘍の発症のリスク上昇を示さなかった。但し、住居内での非常に高い磁界ばく露(>0.3µT)に分析を限定した場合、結果はリスク上昇の仮説と整合したが、影響を明確に示すには、非常に高い屋内磁界の住居に住む被験者数は少なかった。
著者らは、住居内の磁界が他の地域よりも比較的低いロサンゼルス郡では、架空電力線は小児脳腫瘍のリスクとは関連していないようであると結論付けている。
0.3µT超の磁界の住居の比率は低過ぎて、他の研究で報告されている中程度の影響を検出できなかった。
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