本研究では、ワイヤレス電話使用が唾液腺腫のリスク上昇と関連しているかどうかを評価するため、69人の唾液腺腫の患者(そのうち耳下腺腫が63人)及び無作為に採用した対照262人についての症例対照研究を実施した。この結果、ワイヤレス電話使用は唾液腺腫の全体的なリスク上昇とは関連していなかった(OR=0.8、95%CI=0.4-1.5)。電話の種類別に計算した場合にも、潜伏期間ごと、または累積使用時間を3群(1-1000h、1000-2000h、2000h<)に分けた場合にも、リスク上昇は認められなかった。著者らは、このデータは、軽度または中程度、及び10年未満のワイヤレス電話使用に関連した唾液腺腫のリスク上昇があるということに反する証拠を追加しているが、より長期間の、及び/またはヘビーな使用に関連したリスクについての情報はほとんど提示していない、と結論している。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | ワイヤレス電話使用なし |
集団 2 | アナログ携帯電話、 ≤ 52時間、 潜伏期間 > 1年 |
集団 3 | アナログ携帯電話、 ≤ 52時間、 潜伏期間1-5年 |
集団 4 | アナログ携帯電話、 ≤ 52時間、 潜伏期間5-10年 |
集団 5 | アナログ携帯電話、 ≤ 52時間、 潜伏期間 > 10年 |
集団 6 | アナログ携帯電話、 > 52時間、 潜伏期間 > 1年 |
集団 7 | アナログ携帯電話、 > 52時間、 潜伏期間1-5年 |
集団 8 | アナログ携帯電話、 > 52時間、 潜伏期間5-10年 |
集団 9 | アナログ携帯電話、 > 52時間、 潜伏期間 > 10年 |
集団 10 | デジタル携帯電話、 ≤ 69時間、 潜伏期間 > 1年 |
集団 11 | デジタル携帯電話、 ≤ 69時間、 潜伏期間1-5年 |
集団 12 | デジタル携帯電話、 ≤ 69時間、 潜伏期間5-10年 |
集団 13 | デジタル携帯電話、 ≤ 69時間、 潜伏期間 > 10年 |
集団 14 | デジタル携帯電話、 > 69時間、 潜伏期間 > 1年 |
集団 15 | デジタル携帯電話、 > 69時間、 潜伏期間1-5年 |
集団 16 | デジタル携帯電話、 > 69時間、 潜伏期間5-10年 |
集団 17 | デジタル携帯電話、 > 69時間、 潜伏期間 > 10年 |
集団 18 | 携帯電話、 ≤ 66時間、 潜伏期間 > 1年 |
集団 19 | 携帯電話、 ≤ 66時間、 潜伏期間1-5年 |
集団 20 | 携帯電話、 ≤ 66時間、 潜伏期間5-10年 |
集団 21 | 携帯電話、 ≤ 66時間、 潜伏期間 > 10年 |
集団 22 | 携帯電話、 > 66時間、 潜伏期間 > 1年 |
集団 23 | 携帯電話、 > 66時間、 潜伏期間1-5年 |
集団 24 | 携帯電話、 > 66時間、 潜伏期間5-10年 |
集団 25 | 携帯電話、 > 66時間、 潜伏期間 > 10年 |
集団 26 | コードレス電話使用、 ≤ 304時間、 潜伏期間 > 1年 |
集団 27 | コードレス電話使用、 ≤ 304時間、 潜伏期間1-5年 |
集団 28 | コードレス電話使用、 ≤ 304時間、 潜伏期間5-10年 |
集団 29 | コードレス電話使用、 ≤ 304時間、 潜伏期間 > 10年 |
集団 30 | コードレス電話使用、 > 304時間、 潜伏期間 > 1年 |
集団 31 | コードレス電話使用、 > 304時間、 潜伏期間1-5年 |
集団 32 | コードレス電話使用、 > 304時間、 潜伏期間5-10年 |
集団 33 | コードレス電話使用、 > 304時間、 潜伏期間 > 10年 |
集団 34 | ワイヤレス電話使用、 ≤ 273時間、 潜伏期間 > 1年 |
集団 35 | ワイヤレス電話使用、 ≤ 273時間、 潜伏期間1-5年 |
集団 36 | ワイヤレス電話使用、 ≤ 273時間、 潜伏期間5-10年 |
集団 37 | ワイヤレス電話使用、 ≤ 273時間、 潜伏期間 > 10年 |
集団 38 | ワイヤレス電話使用、 > 273時間、 潜伏期間 > 1年 |
集団 39 | ワイヤレス電話使用、 > 273時間、 潜伏期間1-5年 |
集団 40 | ワイヤレス電話使用、 > 273時間、 潜伏期間5-10年 |
集団 41 | ワイヤレス電話使用、 > 273時間、 潜伏期間 > 10年 |
集団 42 | アナログ携帯電話使用:1-1000時間 |
集団 43 | アナログ携帯電話使用:1001-2000時間 |
集団 44 | アナログ携帯電話使用: > 2000時間 |
集団 45 | デジタル携帯電話使用:1-1000時間 |
集団 46 | デジタル携帯電話使用:1001-2000時間 |
集団 47 | デジタル携帯電話使用: > 2000時間 |
集団 48 | 携帯電話使用:1-1000時間 |
集団 49 | 携帯電話使用:1001-2000時間 |
集団 50 | 携帯電話使用: > 2000時間 |
集団 51 | コードレス電話使用:1-1000時間 |
集団 52 | コードレス電話使用:1001-2000時間 |
集団 53 | コードレス電話使用: > 2000時間 |
集団 54 | ワイヤレス電話使用:1-1000時間 |
集団 55 | ワイヤレス電話使用:1001-2000時間 |
集団 56 | ワイヤレス電話使用: > 2000時間 |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 78 | 312 |
参加者 | 69 | 262 |
参加率 | 88 % | 83 % |
患者69人のうち63人が耳下腺腫瘍を有していた
唾液腺腫瘍の患者36人(52%)及び対照の被験者149人(57%)がワイヤレス電話使用を報告した;症例と対照のいずれにおいても、携帯電話使用(症例30人、対照111人)の方がコードレス電話使用(症例19人、対照93人)よりもやや一般的であった。
ワイヤレス電話の使用(携帯電話及びコードレス電話)は、唾液腺腫瘍の全体的なリスク上昇と関連していなかった(OR 0.8;CI 0.4-1.5)。異なる種類の電話について個別に計算した場合も、異なる潜伏期間または累積使用のカテゴリーについても、リスク上昇はなかった。耳下腺腫瘍のリスクについても、全体的な結果は同様であった。著者らは、これらの結果は、軽度‐中程度のワイヤレス電話使用、及び、10年未満の使用に関連した耳下腺腫瘍のリスク上昇があるということに対する反証を追加するものである、と結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。