この研究は、居住環境磁界ばく露と小児がんの発生との関連を評価する目的で実施された症例対照研究である。適格な症例は、1976-1983年間に、あらゆる形態のがんと診断された、コロラド州デンバーの5つの標準統計地域に住む0 - 14歳の全居住者356人である。対照は、症例における年齢、性別、電話交換地域の分布と類似するように、無作為電話法によって抽出された。ばく露は、電力の高使用時、低使用時の2つの条件下での家庭内の電界および磁界の測定値、ならびに長期磁界レベルの代用尺度であるワイヤコード(電線規格分類)によって特徴付けられた。その結果、電力の低使用時の磁界測定値が、がん発生率と中程度の関連を示した;カットオフスコアを2.0ミリガウスとした場合、全がんのオッズ比は1.4(95%信頼区間(CI)= 0.6〜2.9)、その他のオッズ比は、白血病(OR = 1.9)、リンパ腫(OR = 2.2) 、および軟組織肉腫(OR = 3.3)である。電力の高使用条件下での磁界(OR = 1.0)も電界(OR = 0.9)も、全がんに関連しなかった。より強い磁界を伴うワイヤコードが、対照の住宅に比べて症例の住宅でよく見られた。この研究の限界は、非参加(特に電磁界測定に関して)、症例と対照の差別的転居率、非差別的なばく露の誤分類(長期磁界ばく露歴に関する不完全な代用尺度の使用から推測される)であると考察している。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 磁界、低電力使用条件:0 - < 0.65 mG |
集団 2 | 磁界、低電力使用条件:0.65 - < 1.0 mG |
集団 3 | 磁界、低電力使用条件:1.0 - < 2.5 mG |
集団 4 | 磁界、低電力使用条件:≥ 2.5 mG |
参照集団 5 | 磁界、高電力使用条件:0 - < 0.65 mG |
集団 6 | 磁界、高電力使用条件:0.65 - < 1.0 mG |
集団 7 | 磁界、高電力使用条件:1.0 - < 2.5 mG |
集団 8 | 磁界、高電力使用条件:≥ 2.5 mG |
参照集団 9 | 電界、高電力使用条件:0 - < 6.0 V/m |
集団 10 | 電界、高電力使用条件:6.0 - < 9.0 V/m |
集団 11 | 電界、高電力使用条件:9.0 - < 14.0 V/m |
集団 12 | 電界、高電力使用条件:≥ 14.0 V/m |
集団 13 | 磁界、低電力使用条件:< 2.0 mG |
集団 14 | 磁界、低電力使用条件:≥ 2.0 mG |
集団 15 | 磁界、高電力使用条件:< 2.0 mG |
集団 16 | 磁界、高電力使用条件:≥ 2.0 mG |
集団 17 | 電界、高電力使用条件:< 12.0 V/m |
集団 18 | 電界、高電力使用条件:≥ 12.0 V/m |
参照集団 19 | 診断時のワイヤ・コード:埋設 |
集団 20 | 診断時のワイヤ・コード:非常に低い |
集団 21 | 診断時のワイヤ・コード:低い |
集団 22 | 診断時のワイヤ・コード:高い |
集団 23 | 診断時のワイヤ・コード:非常に高い |
参照集団 24 | 診断の2年前のワイヤ・コード:埋設 |
集団 25 | 診断の2年前のワイヤ・コード:非常に低い |
集団 26 | 診断の2年前のワイヤ・コード:低い |
集団 27 | 診断の2年前のワイヤ・コード:高い |
集団 28 | 診断の2年前のワイヤ・コード:非常に高い |
参照集団 29 | ワイヤ・コード:埋設、非常に低い、低い |
集団 30 | ワイヤ・コード:高い、非常に高い |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 356 | 278 |
参加者 | 252 | 222 |
参加率 | 71 % | 80 % |
症例128人及び対照207人の住居で電界及び磁界の測定を実施し、症例319人及び対照259人についてワイヤコードを取得した。
小児がんと低電力条件下での磁界測定値との中程度の関連が認められたが、高電力条件下での磁界測定値との関連は認められなかった。電界は小児がんと関連していなかった。「高い」及び「非常に高い」ワイヤ・コードについて、全てのタイプのがんのリスク上昇が認められた。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。