研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[ストックホルム郡における50Hz電磁環境と子どもの腫瘍の発生率] epidem.

50-Hz electromagnetic environment and the incidence of childhood tumors in Stockholm County

掲載誌: Bioelectromagnetics 1986; 7 (2): 191-207

この研究は、低周波磁界ばく露小児がんに関する症例対照研究である。0〜18歳で、1958〜73年に、ストックホルム郡で報告されたすべてのがん症例の出生および診断住居における架空電力線および他の電磁界発生源からの磁界を決定した。症例は、出生時および診断時の両方において、郡内に永続的な住所を有する716例に限定された。同等数のコントロールは、出生時の教会地区、年齢、性別を症例とマッチさせた。各住居の外で150m以内に目に見える電気設備(6〜200kVの高圧電線、変電所変圧器電気鉄道、地下鉄)の存在が記録された。また、50Hzの磁界は、住居玄関の外で測定された。目に見える200kV電力線は、2,098の住居のうちの45で認められ、対照群と比べ、症例群では2倍の頻度であった(Pは0.05未満)。住居での磁界測定値は、0.0004から1.9μT(平均値0.069μT)で変動した。磁界は、200 kV線が見える住居(0.22μT)の方が、見えない住居より高かった。48の住居で0.3μT以上の磁界が測定され、そのような住居の症例群における割合は、対照群の2倍であった(Pは0.05未満)。その差は、神経系腫瘍の住居で最も顕著であり、白血病では小さかった、と報告している。

研究の目的(著者による)

子どもの腫瘍と架空電力線及びその他の発生源からの磁界との関連の可能性を調査するため、スウェーデンにおいて症例対照研究を実施した。

詳細情報

ばく露は、出生児及び診断時に子どもが住んでいた住居での磁界測定によって評価した。各住居の150m以内で、目に見える電気的構成の出現箇所を記録した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (相対リスク(RR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 磁界:< 0.3 µT;住居から > 150 m離れた200kV線
集団 2 磁界:≥ 0.3 µT;住居から > 150 m離れた200kV線
集団 3 磁界:< 0.3 µT;住居から ≤ 150 m離れた200kV線
集団 4 磁界:≥ 0.3 µT;住居から ≤ 150 m離れた200kV線

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 891 -
参加者 716 716
統計学的分析方法:

結論(著者による)

2098軒の住居のうちの45軒で目に見える200kV線が観察され、症例では対照よりも2倍多く見つかった。48軒の住居で0.3µT以上の磁界が測定され、やはり症例では対照よりも2倍多く見つかった。

研究助成

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