<目的>小児白血病と電磁界との関連では結論が得られてないことと送電線電磁界を扱った研究がないことから、台北市の送電線沿線住民で研究を始めた(投稿時期は北欧の研究が発表されていなかったと推測)。<方法>台湾電力の協力で少なくとも1つ以上の小学校上空を送電線(69-345kV)が通っている行政区を台北市から2つ、台北郡から3つ選定。人口はそれぞれ29,12,12,8,6万人で、14才までの組織病理的に93%は確認された小児白血病67症例を1979年-1988年のガン登録で行政区から見つけ出した。ガン登録の年齢、性別、行政区等は90%以上の信頼性を保持。症例の期待数は、台湾の暦年毎の小児白血病罹病率と登録による5年毎のグループから人年法で算出した。行政区毎で都市化に違いがある為、台湾で分類されている8レベルの都市化程度を用いてSIRの補正を行った。症例数が少ない為、白血病サブタイプまでは検討できなかった。<結果>(1)全体として5つの行政区では他の行政区よりも、補正された白血病のSIRが有意に高いことが示された(表1)。都市化での補正に関係なく有意なSIRが見られた。(2)年齢区分で見ると、学校前の0-4才は最もSIRが高かった(SIR 1.78 95%CI 1.20-2.35)(表2)。(3)5つの行政区の内3つの区で有意にSIRが高くなる事が観察されたが、年齢区分では傾向が全く逆になることが認められた。論文で結論を述べていないが、小学校上空を送電線が通る事を磁界曝露のサロゲートとすることの限界について言及している。更に、詳細な検討を加えるには症例の住所がガン登録に記載されていないため不可能であること、5つの行政区の環境条件の違いはないと記述。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | Shihlin地区 |
集団 2 | Chingmei地区 |
集団 3 | Tucheng地区 |
集団 4 | Yingko地区 |
集団 5 | Hsichuh地区 |
集団 6 | 合計 |
集団 7 | Shihlin地区:年齢0-4歳 |
集団 8 | Chingmei地区:年齢0-4歳 |
集団 9 | Tucheng地区:年齢0-4歳 |
集団 10 | Yingko地区:年齢0-4歳 |
集団 11 | Hsichuh地区:年齢0-4歳 |
集団 12 | 合計:年齢0-4歳 |
集団 13 | Shihlin地区:年齢5-9歳 |
集団 14 | Chingmei地区:年齢5-9歳 |
集団 15 | Tucheng地区:年齢5-9歳 |
集団 16 | Yingko地区:年齢5-9歳 |
集団 17 | Hsichuh地区:年齢5-9歳 |
集団 18 | 合計:年齢5-9歳 |
集団 19 | Shihlin地区:年齢10-14歳 |
集団 20 | Chingmei地区:年齢10-14歳 |
集団 21 | Tucheng地区:年齢10-14歳 |
集団 22 | Yingko地区:年齢10-14歳 |
集団 23 | Hsichuh地区:年齢10-14歳 |
集団 24 | 合計:年齢10-14歳 |
台北の五地区で、1979-1988年の期間に合計67人の小児白血病症例が観察された。これら五地区に住む子供は小児白血病発症の有意に高いリスクを示した。就学前の子ども(0-4歳)に、最も高く、有意に高い標準化発生率(SIR)が観察されたが、学童(5-14歳)のSIRは有意に上昇していなかった。
著者らは、この結果は小児白血病と居住環境電磁界との関連を支持するものであると結論付けた。
ばく露評価の手法に疑問の余地がなくはない。
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