この研究は、超低周波電磁界(ELF-EMF)への急性(2時間)ばく露、あるいは運動抑制、および両方の組み合わせが、ラットの抗酸化システム(血漿、肝臓、腎臓、心臓)に与える早期影響を評価した。24匹の成獣の雄ウィスターラットを拘束と非拘束の2群に分けた。拘束群は、120分間アクリルチューブに閉じ込められた。両群のラットの半数は、この120分間、ELF-EMF(60 Hz、2.4 mT)ばく露を与えられた。非拘束・無ばく露群を対照群とした。これらの処置終了直後に、各組織における還元型グルタチオン(GSH)、カタラーゼ(CAT)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、およびチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)を測定した。その結果、GSH濃度は、心臓では、対照群に比べ、他の群で有意に低く、拘束群の肝臓ではさらに大きく低下した;SOD活性は、非拘束群に比べ、拘束・ELF-EMFばく露群の血漿で低かった;CAT活性およびTBARSレベルに有意な変化はなかった;総括すると、2時間の60 Hz EMFばく露は、血漿中のSOD活性と心臓と腎臓のGSH含有量を減少させるかもしれないが、脂質過酸化は誘発しなかったこと、運動抑制による酸化ストレスは、EMFによるものよりも強いことが示された、と報告している。
ラットの血漿、肝臓、腎臓及び心臓における抗酸化系に対する、超低周波電磁界への急性(2時間)のばく露、移動拘束(心理学的及び身体的ストレスを生じさせるため)ならびに両者の組合せの早期影響を評価すること。
細胞を少量のストレスに先にばく露すると、同じストレスまたは異なるストレス(例:熱、化学物質、短時間の虚血または電磁界ばく露)から防御することができる。著者らは、超低周波電磁界への短時間のばく露が抗酸化系、特に肝臓、腎臓及び心臓のような酸化代謝が高い組織に、適応変化を生じ得るという仮説を検証した。この事前の条件付けは酸化ストレスに対する防御作用につながり得る。
雄ラット24匹を拘束及び非拘束の2群に分けた。拘束群は、アクリル製のチューブに120分間閉じ込め、各群の半数(n=6)を拘束中に超低周波電磁界にばく露した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
continuous for 2 hr
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animals were divided into four groups: i) in movement restrained ii) in movement restrained + exposure to EMF iii) in movement unrestrained + exposure to EMF iv) control - no restrainment + no exposure
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 2 hr |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | rats were restrained by confinement into a 18 cm long acrylic cylinder with an inner diameter of 7 cm; unrestained rats were placed in 47 cm x 25 cm x 21 cm acrylic cages; pair of circular Helmholtz coils with an inner diameter of 30 cm, consisting of 350 turns of 18-gauge copper wire, separated by 15 cm; coils lying on the upper and lower cage surfaces |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 2.4 mT | - | 測定値 | - | - |
全ての実験群で、対照群(非ばく露・非拘束)と比較して、心臓のグルタチオン濃度が有意に低かった:更に、この低下は両方の拘束群の肝臓で最大であった。全ての拘束群及び磁界ばく露群で、非拘束・非ばく露対照群と比較して、血漿のスーパーオキシドジスムターゼ酵素活性が低かった。全ての実験群で、対照群と比較して、カタラーゼ酵素活性及びチオバルビツール酸反応性物質のレベルには有意差はなかった。
著者らは、2時間の60Hzばく露はフリーラジカルの代謝を即座に変化させるかも知れず、血漿中のスーパーオキシドジスムターゼ活性ならびに心臓及び腎臓でのグルタチオン量を低下させるが、脂質の過酸化はすぐには生じない、と結論付けている。移動拘束による酸化ストレスは、電磁界ばく露によって生じるものよりも強かった。
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