この研究は、超低周波磁界(ELF-MF)による酸化促進作用が広く見られるという仮説のもと、このような酸化促進作用への感受性上昇に老化プロセスが関与するか否かを調べた。メスのSprague-Dawleyラットに50 Hz正弦波の0.1 mTの磁界に10日間の連続ばく露を与え、ばく露により生じる主要な抗酸化保護システムおよび神経栄養サポートにおける変化を、ラットの年齢の関数として調べた。神経細胞の酸化的損傷に対する感受性が高い大脳皮質で全ての分析を行った。その結果、若齢および老齢のラットのどちらにおいても、ELF-MFばく露は抗酸化能力に有意に影響することが示されたが、両者での影響の方向は反対であった;若齢ラットでは、ELF-MFによる酸素ラジカル種の増加に対抗して、神経栄養シグナル伝達および抗酸化酵素による防御が増強した;対照的に、老齢ラットでは、ELF-MFばく露に反応した防御力増加は起こらず、逆に、主要な抗酸化酵素活性の有意な低下を起こした、と報告している。
超低周波磁界が介在する酸化促進ストレスに対する感受性を、加齢プロセスが高め得るかどうかを調べるため、慢性ばく露後の抗酸化防御系及び神経栄養支援(神経成長因子に関する遺伝子発現及びタンパク質発現)の違いをラットの脳で調査した。
3月齢の雌ラット(n=20)及び19月齢の雌ラット(n=20)を無作為にばく露群及び偽ばく露群に割り当てた。磁束密度(0.1mT)は、欧州委員会の勧告(1999/519/EC)における一般公衆のばく露についての参考レベルである。実験を異なるラットのコロニーで3回実施した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 10 days
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 10 days |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | pair of Helmholtz coils with a radius of 630 mm each, distance between coils = 700 mm, animals placed in plastic cages in the center of the coil system |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 0.1 mT | - | - | - | - |
結果は、超低周波磁界へのばく露は若齢及び高齢のラットのどちらの抗酸化酵素活性にも有意に影響するが、その方向は逆であることを示した。ばく露した若齢ラットでは神経栄養シグナル伝達及び抗酸化酵素防御が強化された。恒例のラットでは、全ての主要な抗酸化酵素活性が有意に低下した。餌の摂取量及び体重はばく露に影響されなかった。
データは、超低周波磁界へのばく露は、加齢に関連した酸化ストレスに基づく神経系の病理の発生に対するリスク因子として作用し得ることを示唆しているようである。
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