最近のアメリカの研究が、0.3 μT を超える磁界に曝され急性リンパ芽球性白血病(ALL)に罹った子どもたちのとりわけ低い生存率を示していたが、それに触発されて、私たちはドイツの小児白血病患者のコホートにおける、この関係性を調査する。この患者集団は、先に1992年から2001年にかけ実施された住民ベースの症例対照研究から抽出したものである。全部で595人のALL患者のケースが、24時間の磁界計測値とともに、中央値として9.5年の追跡を伴うこの分析に収録されている。我々は、全生存期間にわたるコックス比例ハザードモデルを使い、それを診断時の年齢、暦年、性別に合わせて調整し、ハザード比(HR)を算出する。高い危険度が見出されるのは、0.1から0.2 μT のばく露についてであり[HR, 2.6; 95% 信頼区間(95% CI), 1.3-5.2]、これは9人の死を伴う34件のケースに基づいているが、0.2 μT を超えるばく露(HR, 1.6; 95% CI, 0.6-4.4)も、やはり高い危険度を示しており、この範囲は4人の死を含む18件のケースに基づいている。予後危険集団のための調整を行うと、0.2 μT を超えるばく露の危険性は HR, 3.0 (95% Cl. 0.9-9.8) まで上昇する。結論を述べると、この研究は総体として先行する研究の所見から成り立っている。しかしながら、私たちは、磁界の各レベルにおける過度の危険性を、アメリカの研究におけるそれより低く報告する。全体として見れば、根拠は依然、数少ない数値に基づいており、これらの所見を説明する生物学的なメカニズムはまだ未知なのである。
磁界ばく露と白血病の子どもの生存率との関連を調査するため、ドイツにおいてコホート研究を実施した。著者らの意図は、磁界が仮に発生率の上昇に関連しているならば、小児白血病の診断後の生存率にも関連している可能性があるのではないかという、 Foliart他 の仮説を検証することであった。
このコホート研究のデータは、先行する3つのドイツにおける症例対照研究(publication 975, publication 1959, 及び publication 6207)に基づいている。患者のフォローアップ情報は、イベント(死亡、再発、二次腫瘍)について収集した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 低磁界ばく露:< 0.1 µT |
集団 2 | 中磁界ばく露:0.1 - < 0.2 µT |
集団 3 | 高磁界ばく露:≥ 0.2 µT |
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 595 |
フォローアップ期間の中央値:9.5年
0.1-0.2µTの磁界ばく露について統計的に有意なハザード比の上昇(症例34人、うち死亡9人に基づく)、0.2µTを超えるばく露について有意ではない上昇(症例18人、うち死亡4人に基づく)が認められた。この結果は、0.2µTを超える磁界にばく露された子どもに、小児白血病の低い生存率が生じるという仮説を支持している。
この結果は少ない数に基づいている。この知見を説明する生物学的メカニズムは不明である。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。