この研究は、ドイツでの疫学調査で、住宅での16.7 Hz(鉄道周波数)磁界(MF)へのばく露と小児白血病の間に中程度で、統計的に有意でない関連を観察したことを報告している。この観察について、ばく露症例は少数であること、住宅での16.7 Hzばく露に関する最初の研究であること、結論として、小児がん研究で16.7 HzのMFを無視しても、所見にはほとんど影響がないように思われることは安心できる、などを考察している。なお、冒頭のドイツでの疫学調査とは、著者グループが実施した電力周波磁界と小児白血病に関する症例対照研究(Int J Cancer 2001; 91 (5): 728-735)である。彼らの調査では、小児が診断前に最も長く過ごした住宅の小児の寝室で24時間磁界測定を実施した。この調査の一部として、16.7 Hzに関して、今回、分析を行なったという経緯である。
診断日の前の最も長い期間に住んでいた住居における子どもの寝室で、磁界へのばく露を24時間にわたって測定した。50Hz及び16.7Hzの磁界ばく露を組合せるため、磁界強度をそれぞれに対応する参考レベル(ドイツのガイドラインでは、50Hzでは100µT、16.7Hzでは300µT)で除し、それぞれの割合を加算した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 24時間測定の中央値、16.7Hz:< 0.1 µT |
集団 2 | 24時間測定の中央値、16.7Hz:0.1 - < 0.2 µT |
集団 3 | 24時間測定の中央値、16.7Hz:≥ 0.2 µT |
参照集団 4 | 夜間の磁界、16.7Hz:< 0.1 µT |
集団 5 | 夜間の磁界、16.7Hz:0.1 - < 0.2 µT |
集団 6 | 夜間の磁界、16.7Hz:≥ 0.2 µT |
参照集団 7 | ピーク磁界、16.7Hz:< 0.1 µT |
集団 8 | ピーク磁界、16.7Hz:0.1 < 0.2 µT |
集団 9 | ピーク磁界、16.7Hz:≥ 0.2 µT |
参照集団 10 | 磁界の中央値、16.7Hzと50Hzの組合せ:ドイツのガイドラインの限度値の < 1/1000 |
集団 11 | 磁界の中央値、16.7Hzと50Hzの組合せ:ドイツのガイドラインの限度値の1/1000から< 1/500 |
集団 12 | 磁界の中央値、16.7Hzと50Hzの組合せ:ドイツのガイドラインの限度値の≥ 1/500 |
参照集団 13 | 夜間の磁界、16.7Hzと50Hzの組合せ:ドイツのガイドラインの限度値の < 1/1000 |
集団 14 | 夜間の磁界、16.7Hzと50Hzの組合せ:ドイツのガイドラインの限度値の1/1000から< 1/500 |
集団 15 | 夜間の磁界、16.7Hzと50Hzの組合せ:ドイツのガイドラインの限度値の≥ 1/500 |
症例 | 対照 | |
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適格者 | 847 | 2,127 |
参加率 | 58 % | 58 % |
評価可能 | 489 | 1,240 |
居住環境での16.7Hz磁界が0.2µT以上であることは非常に稀(対照の僅か0.5%)であった。
居住環境での16.7Hz磁界ばく露と小児白血病との中程度だが統計的に有意でない関連が認められた。本研究は、超低周波磁界についての小児白血病研究において、鉄道によって生じる16.7Hz磁界を無視しても、全体的なアウトカムへの影響はほとんどなさそうである、ということを再確認している。
この結果はばく露された子どもの少ない数に基づいている。
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