この研究は、成人の電磁界への居住環境ばく露および職業ばく露と脳腫瘍リスクとの関連を調べた症例対照研究である。1999年5月から2001年4月にかけて、フランス南西部で実施された。中枢神経系腫瘍(神経膠腫105、髄膜腫67、聴神経鞘腫33、その他16)の症例221人、一般人口から症例と年齢、性別を個人マッチングさせて選出された対照442人を分析した。電磁界ばく露(超低周波(ELF)と無線周波を別々に)は、職業環境(専門家が完全なジョブカレンダーに基づいて判定)および自宅(地理情報システムの支援で電力線までの距離を算出)に基づいて評価された。教育、家庭用殺虫剤の使用、農村地域での居住、化学物質への職業ばく露などの交絡因子が考慮された。脳腫瘍全体および神経膠腫、髄膜腫、聴神経鞘腫を個別に分析した。その結果、電磁界への職業ばく露に関して、有意ではない脳腫瘍リスク上昇が見られた(オッズ比(OR) = 1.52、95 %信頼区間(95 %CI): 0.92 - 2.51));このリスク上昇は、特にELF職業ばく露を個別に検討した場合に、髄膜腫で有意になった(OR = 3.02、95 %CI:1.10 - 8.25);髄膜腫のリスクは、電力線近く(< 100 m)の居住者群で最も高かったが、有意ではなかった(OR = 2.99、95 %CI:0.86 - 10.40)、と報告している。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 電磁界への職業ばく露:なし |
集団 2 | 電磁界への職業ばく露:あり |
参照集団 3 | 超低周波電磁界への職業ばく露:なし |
集団 4 | 超低周波電磁界への職業ばく露:あり |
参照集団 5 | 無線周波電磁界への職業ばく露:なし |
集団 6 | 無線周波電磁界への職業ばく露:あり |
参照集団 7 | 居住環境ばく露:電力線への近接度: > 100m |
集団 8 | 居住環境ばく露:電力線への近接度: ≤ 100m |
参照集団 9 | 携帯電話へのばく露:なし |
集団 10 | 携帯電話へのばく露:あり |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 315 | 642 |
参加者 | 221 | 442 |
参加率 | 70 % | 69 % |
電磁界への職業ばく露について、脳腫瘍のリスクの有意ではない上昇が認められた。超低周波への職業ばく露のサブグループに、髄膜腫のリスクの有意な上昇が認められた。
電力線から100m以内の近傍に住む被験者に、脳腫瘍のリスクの有意ではない上昇が認められ、これは髄膜腫のサブグループでより高かった。
携帯電話使用と脳腫瘍のリスクとの関連は認められなかった。
著者らは、超低周波電磁界への職業的または居住環境ばく露は髄膜腫の発生において役割を果たしているかも知れない、と結論付けた。
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