この研究は、職業的磁界ばく露と神経変性疾患(NDDs)の関連についての疫学研究42件のメタ分析である。全研究についてのランダム効果モデルでの統合RRは、運動神経疾患(MND)およびアルツハイマー病(AD)で小さな関連を示し(1.26[1.10-1.44]、 1.27[1.15-1.40])、認知症・MS・PDでは関連がみられなかった。このため、ADとMNDに的を絞り、職業的磁界ばく露によるリスクの詳細なメタ分析を行った。その結果、MNDのリスクは職務名分類と、一方、ADのリスクは磁界レベル推定値と関連した;研究デザインにより結果が変動し、その変動は疾患によって異なっていた;ADおよびMNDのファンネルプロット図で、小規模な研究にはポジティブな関連を示す傾向があるために生じた非対称性が見られた、などを報告している。結論として、今回のメタ分析では職務名とMNDとの間に観察された関連を説明するものが磁界であるとの裏付けが提供されなかった;疾患の誤分類(とりわけADでの)およびばく露評価の不正確さが大部分の研究に影響していたため、職業的磁界ばく露の影響について信頼性の高い推定を行うことは現時点ではできない、と述べている。
超低周波磁界への職業ばく露と神経変性疾患との関連を、42報の文献に基づくメタ分析で評価した。磁界への職業ばく露は、実際の磁界測定値、専門家の判断に基づくばく露の割り当て、職業‐ばく露マトリクスの利用、または磁界ばく露が生じたかも知れない職種を含む、複数の代用尺度を用いて評価した。
以下の研究を含めた:Andel他(2010)、Davanipour他(2007)、Davanipour他(1997)、Deapen及びHenderson(1986)、Fang他(2009)、Feychting他(1998)、Feychting他(2003)、Graves他(1999)、Gunnarson他(1992)、Gunnarsson他(1991)、Hakansson他(2003)、Harmanci他(2003)、Johansen(2000)、Johansen(1999)、Noonan他(2002)、Park他(2005)、Parlett他(2011)、Qiu他(2004)、Röösli他(2007)、Savitz他(1998)、Savitz他(1998)、Schulte他(1996)、Seidler他(2007)、Sobel他(1996)、Sobel他(1995)、Sorahan及びKheifets(2007)、Strickland他(1996)、及び Weisskopf他(2005)。加えて、電磁界との関連が明示されていない職種があるためEMF-Portalには含まれていない、14報の研究が含まれた。
磁界への職業ばく露の指標と運動神経疾患及びアルツハイマー病との弱い関連が認められ、磁界ばく露と認知症、多発性硬化症、及びパーキンソン病等のその他の神経変性アウトカムとの関連はなかった。運動神経疾患のリスクは職種と関連していて、アルツハイマー病のリスクは推定された磁界レベルと関連していた。結果は研究デザイン(例:リスクパラメータが発生率、有病率または死亡率;ばく露評価方法)によって異なり、疾病によってばらつきが異なっていた。
著者らは、この結果は職種と運動神経疾患との間に観察された関連についての説明としての磁界ばく露を支持していない、と結論付けている。特にアルツハイマー病についての疾患の誤分類と、不正確なばく露評価が、ほとんどの研究に影響を及ぼした。
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