【背景】低周波磁界へのばく露は、認知症に対する病因学的関連を潜在的に持っていると、いくつかの研究が指摘しているが、まだ決定的な証拠はない。〔目的〕低周波磁界と認知症の関連性について、さらに検討する。【方法】23の一般診療所から195人の認知症患者が募られた。このうち、108人がアルツハイマー病を、59人が脳血管性認知症を疑われた。28人は二次性あるいは分類不能の認知症であった。対照群としては総数229人が募られた:122人は住民対照であり、107人は認知症に罹っていない外来患者であった。データは、個人からの系統立てられた聞き取りという形で収集されたが、必要に応じ、聞き取りの間、近親者に傍にいてもらった。低周波磁界へのばく露度は専門家による採点で評価された。認知症との関連が疑われる職業を特定するために、主だった職業を事前に分類しておいた。オッズ比の算出にはロジスティック回帰分析を用い、年齢、地域、性別、両親の認知症、喫煙の項目での比較を行った。【結果】磁界へのばく露は認知症と顕著に関連付けられるものではなかった。アルツハイマー病および脳血管性認知症の症例に対しては分析上の制約があり、そのため、統計的に顕著な結果が得られるには至らなかった。ブルーカラーの職業 (電気・電子機器、金属、建設、食品・飲料加工の労働従事者) に、我々は認知症の危険性の増加を見出した。【結論】我々の研究によって、低周波磁界への職業的ばく露と認知症との強い関係性は論証されなかった。ブルーカラーの労働と後年の認知症発症との関連性については、さらなる研究によって考察される必要がある。
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