研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[電気事業労働者における磁界ばく露と神経変性性疾患による死亡率] epidem.

Magnetic field exposure and neurodegenerative disease mortality among electric utility workers

掲載誌: Epidemiology 1998; 9 (4): 398-404

<方法>・対象:米国の電気施設大企業5社において1950年~1986年の期間に6ヶ月以上勤務した男性のうち適任者138,905人。職歴を磁界曝露量に応じて群別に分け、労働時間帯で加重した平均磁界曝露量より判定。化学物質(特にPCB)に関して曝露量の補正を行っている。死亡調査は全国死亡数調査、社会保障局の記録などより入手。死亡者20,733人のうち死亡診断書が入手できたのは20,068人。<結果>3つの疾病とも、全米の死亡率と比較して増加は見られない。(1)アルツハイマー病(死亡者 基礎死因:24人、注釈死因:56人)-磁界曝露量の高い職種で、就労年数との間に弱い相関。結果は極めて不正確。(2)パーキンソン病(死亡者 基礎死因:45人、注釈死因:117人)-基礎死因では就労年数と負の相関、注釈死因では弱い正の相関実質関連なし。(3)筋萎縮性側索硬化症[ALS](死亡者 基礎死因:28人、注釈死因:33人)-曝露職種への就労年数との間に正の相関。特に20年以上経過している枠で率比が2~3と高い。(1)アルツハイマー病-最近磁界との相関を示す研究がいくつか発表されているが、研究の一貫した核が得られていない。磁界曝露の調査パターンが揃わず、調査方法の比較には疑問がつきまとう。(2)パーキンソン病疫学研究から、電気関係の職業との相関を示すデータは得られていない。(3)筋萎縮性側索硬化症[ALS]-過去の研究では電撃症との強い相関が見られた。今回は20年以上経過した場合において率比が増えていることから潜伏期間が想定される。(4)その他-今回の調査のように「基礎死因」と「注釈死因」で分けた場合、症例を多く捉えることができる反面、「注釈死因」はかなり恣意的なもので誤差として働くことがある。職業的曝露量情報はかなり説得力の有るものであるが、まだまだ実曝露と比べて誤差が大きいと思われる。

ばく露

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