【背景】極低周波磁界(ELF-MF)ばく露はアルツハイマー病のリスクを増大させると疑われている。このような磁界は電気発動機や、コイルを含むその他の電気設備の周辺に現れる。【方法】我々は生涯にわたるELF-MF職業ばく露をアルツハイマー病および認知症との関連で、ある共同体において調査した。スウェーデン、ストックホルムの75歳以上から成る集団(n=931)で、認知症患者は一人もいなかった。この集団が1987-1989年から1994-1996年まで追跡され、認知症(精神障害の診断的および統計的マニュアル、改訂第3版基準)が探査された。生涯の職歴の情報は、多くは親族の同席のもと、聞き取りによって得られた。ELF-MFばく露量は、職業ばく露表、歴史的設備の計測、専門家の見積もりを用いて評価された。我々は、潜在的交絡因子を調整しつつコックス・モデルを使って、データを分析した。【結果】265人の対象者について認知症と診断された。うち、202人がアルツハイマー病であった。男性においては、≧0.2μT のELF-MFばく露を生涯の主要な職業において受け続けることは、多変量補正をされた相対リスクとして、アルツハイマー病に対する2.3(95% CI=1.0-5.1)、認知症に対する2.0 (1.1-3.7) と関連付けられた。女性については関連性は見出されなかった。性別に特化した同様のパターンは、職業生涯における平均ELF-MFばく露との関連でも見られた。線量反応が、男性においては示唆され、生涯平均ばく露の上位三分位に対する多変量補正された相対リスクとして、アルツハイマー病に対しては2.4(0.8-6.8)、認知症に対しては2.5(1.1-5.6)であった。【結論】より高いELF-MFレベルへの長期職業ばく露は、男性におけるアルツハイマー病と認知症を増大させるかもしれない。同様のパターンは女性には見られなかったが、それは部分的には、女性において男性におけるよりも大きかったばく露誤分類の結果かもしれない。""""
グループ | 説明 |
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参照集団 1 | 男性の生涯の主な職業における磁界ばく露:< 0.20 µT |
集団 2 | 男性の生涯の主な職業における磁界ばく露:≥ 0.20 µT |
参照集団 3 | 女性の生涯の主な職業における磁界ばく露:< 0.20 µT |
集団 4 | 女性の生涯の主な職業における磁界ばく露:≥ 0.20 µT |
参照集団 5 | 生涯の主な職業における磁界ばく露:< 0.20 µT |
集団 6 | 生涯の主な職業における磁界ばく露:≥ 0.20 µT |
参照集団 7 | 男性の生涯の平均的な職業磁界ばく露:< 0.16 µT |
集団 8 | 男性の生涯の平均的な職業磁界ばく露:0.16 - 0.21 µT |
集団 9 | 男性の生涯の平均的な職業磁界ばく露:> 0.21 µT |
参照集団 10 | 男性の生涯の平均的な職業磁界ばく露:< 0.14 µT |
集団 11 | 男性の生涯の平均的な職業磁界ばく露:0.14 - 0.17 µT |
集団 12 | 男性の生涯の平均的な職業磁界ばく露:> 0.17 µT |
参照集団 13 | 生涯の平均的な職業磁界ばく露:< 0.15 µT |
集団 14 | 生涯の平均的な職業磁界ばく露:0.15 - 0.18 µT |
集団 15 | 生涯の平均的な職業磁界ばく露:> 0.18 µT |
タイプ | 値 |
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合計 | 1,810 |
参加者 | 931 |
第2フォローアップ:626人の参加者
フォローアップの4366人‐年において、265人の被験者が認知症、202人がアルツハイマー病と診断された。コホート全体では、超低周波磁界ばく露と認知症のリスクとの関連は認められなかった。但し、生涯の主な職業における、より高い磁界ばく露(≥ 0.2 µT)は、男性のアルツハイマー病及び認知症のリスクと関連していた。女性では関連は認められなかった。労働生活を通じた平均的な超低周波磁界ばく露について、同様の性別パターンが認められた。
より高い磁界への長期的な職業ばく露は、男性における認知症及びアルツハイマー病のリスクを高めるかも知れない。
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