この研究は、職業的ばく露と筋萎縮性側索硬化症(ALS)のリスクとの関連を評価するために、米国がん協会のがん予防研究IIに登録された100万人以上をコホートで、職業とALS死亡率との関連性を前向きに評価した。1989年から2002年までの追跡期間において、男性507人、女性430人のALSによる死亡が確認された。マンテルヘンツェル型の重みおよびコックス比例ハザードモデルを用いて、調整された率比(RR)を計算した。その結果、男性でALS死亡率比の上昇が見られたのは、プログラマー(RR = 4.55、95 %信頼区間(CI): 1.46 - 14.2、p = 0.009)および検査技師(RR = 1.96、95 %CI: 1.04 – 3.66、p = 0.04)であった;以前の研究においてリスク上昇との関連が報告された職業(農業従事者、電気技師、溶接工)において、リスク上昇は見られなかった;ただし、電気技師および溶接工におけるALS死亡者数は少なかった(前者8人、後者2人);女性でALS死亡率比の有意な上昇が見られたのは、機械組立作業者のみであった(RR = 2.81、95 %CI: 1.05 - 7.53; p = 0.04);得られた知見は、男性のプログラマーと検査技師、女性の機械組立作業者で、ALSによる死亡のリスク上昇の可能性を示唆したが、少数に基づいた結果であるため、慎重に解釈する必要がある、と報告している。
1980年の国勢調査局の職種に従って職業を分類し、13の広範な職業グループのうちの1つに割り当てた。
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 1,184,561 |
全体として、男性4,913,369人‐年において507人、女性7,081,569人‐年において430人の筋萎縮性側索硬化症による死亡が観察された。
この前向き研究では、筋萎縮性側索硬化症による死亡と、電気技師、溶接工または農業従事者の職業(いずれも先行研究で筋萎縮性側索硬化症と関連付けられていた)との関連は認められなかった。男性では、プログラマ(RR 4.55;CI 1.46-14.2)及び検査技師(RR 1.96;CI 1.04-3.66)について、筋萎縮性側索硬化症による死亡の増加が認められた。女性では、機械組立工(RR 2.81;CI 1.05-7.53)について筋萎縮性側索硬化症による死亡の増加が認められ、看護師(RR 1.40;CI 0.96-2.04)について僅かに有意な増加が認められた。但し、これらの結果は各々の職業カテゴリーにおける少ない症例数に基づいており、慎重に解釈すべきである。
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