この研究は、ベンゾ(a)ピレン(BP)によって誘発されるヒトリンパ球での小核(MN)および姉妹染色分体交換(SCE)の発生頻度に、超低周波磁界(ELF-MF)が相互作用するか否かを調べた。磁束密度0.8 mTの60 Hz ELF-MFを、単独で、またはBPとの組み合わせで、24時間ばく露した。その結果、腫瘍イニシエーターBP誘発性のMNおよびSCEの頻度は、用量依存的に増加した;24時間のBPと0.8 mT ELF-MFの組み合わせばく露とそれに続く48時間のBPばく露は、72時間のBP単独ばく露に比べ、MNおよびSCEの頻度を有意に増加させた(P <0.05);しかし、ELF-MFばく露群とELF-MF擬似ばく露対照群との間に有意差は観察されなかった;これらの知見から、低レベルのELF-MFは、ヒトリンパ球への変異原性効果のイニシエーターとしてではなく、BPのイニシェーションプロセスのエンハンサーとして作用することが示された、と報告している。
発がん性物質のベンゾピレンを、電磁界ばく露と同時に24時間、電磁界ばく露の後に48時間適用した。
処理後、以下を電磁界ばく露、偽ばく露の各群に実施した。1.対照群(無ベンツピレン処理) 、 2対照群+ジメチルスルホキシド(DMSO)、3-6:異なる濃度のベンゾピレン(1、5、10、15µg/ml)。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
continuous for 24 h
|
|
ばく露の発生源/構造 |
|
---|---|
ばく露装置の詳細 | Culture plates placed in the center of the exposure system where the magnetic field was 2.5% homogeneous. The sham exposed cultures were tested with the same exposure system with the power supply switched off. |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
Additional information | The magnetic field was oriented horizontally with respect to the culture plates. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
磁束密度 | 0.8 mT | unspecified | 測定値 | unspecified | - |
ベンゾピレンで誘導した小核及び姉妹染色分体交換の頻度は、量依存的に上昇した。
ベンゾピレンの72時間処理のみと比較して、ベンゾピレンと超低周波電磁界への細胞の共ばく露は、小核及び姉妹染色分体交換の頻度の有意な上昇を生じた。
電磁界ばく露と偽ばく露対照の細胞には有意差は認められなかった(グループ1)。
この結果は、低磁束密度の超低周波電磁界は、ヒトリンパ球において突然変異作用のイニシエータではなく、ベンゾピレンのイニシエーションのプロセスのエンハンサとして作用し得ることを示唆している。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。