この研究は、正常細胞株における60 Hz磁界ばく露の影響、特にさまざまな外部因子との組み合わせばく露の影響を、小核(MN)アッセイを用いて評価した。実験に用いた細胞は、マウス胚性線維芽細胞NIH3T3細胞とヒト肺線維芽細胞WI-38細胞である。磁界との組み合わせばく露には、電離放射線(IR、2 Gy)、H2O2 (100 μM)、がん遺伝子c-Myc活性化の3因子を用いた。2種類の細胞はそれぞれ、60 Hz、1 mTの一様磁界への単独ばく露または3つの因子のいずれか一つとの組み合わせばく露を4時間受けた。その結果、ELF-MF単独ばく露群と無ばく露対照群の細胞での小核頻度に有意差はなかった;さらに、ELF-MFをIR、H2O2、c-Myc活性化と組み合わせた場合、相乗効果は観察されなかった、と報告している。
非腫瘍形成性NIH3T3細胞及びヒト肺線維芽細胞での小核形成に対する、超低周波磁界ばく露と、電離放射線、過酸化水素、及び発がん遺伝子c-Mycの活性化を含む各種のストレス因子との複合的影響を調べること。
陽性対照として、細胞に各種の線量(0-4Gy)のガンマ線を線量率3.81Gy/分で照射した。H2O2ばく露については、細胞をH2O2(0-200mM)で4時間処理した。
共ばく露実験では3つの条件を用いた:1) 超低周波磁界に4時間ばく露、2) ガンマ線照射(2Gy)の直後に超低周波磁界に4時間ばく露、3) H2O2(100µM)の存在下で超低周波磁界に4時間ばく露。
Cells were exposed in the following eight groups: i) exposure to H2O2 ii) gamma radiation iii) exposure to ELF iv) sham exposure v) ELF exposure + exposure to H2O2 (100µM) vi) ELF exposure + gamma radiation (2 Gy) vii) c-Myc activation viii) ELF exposure + c-Myc activation
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 4 h |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | Merritt-coil system consisting of four square coils with 26 turns of wire in the outer and 11 turns in the inner coils, connected in series; cage with three testing floors (top, middle, bottom); exposure system shielded with ferrite material and placed inside a water-cooled incubator at a constant temperature of 37°C; cells placed in 60 mm Petri dishes inside the exposure system |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
このデータは、超低周波磁界に単独ばく露した細胞と非ばく露細胞との有意差を示さなかった。更に、超低周波磁界ばく露を電離放射線、過酸化水素、及び発がん性c-Myc活性化と組合せた場合も、相乗作用は認められなかった。
結論として、この知見は、超低周波磁界は電離放射線、過酸化水素、及び発がん性c-Myc活性化によって生じた小核形成頻度を高めない、ということを証明している。
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