この研究は、著者らの研究グループによる先行研究「50 Hz磁界(MF)への事前ばく露を受けたマウスL929細胞ではメナジオン誘導性DNA損傷応答が変化する」に引き続き、今回はヒトSH-SY5Y神経芽細胞腫細胞を用いて、先行研究で調査しなかった化学物質誘発性のDNA損傷レベル、DNA修復率、または小核頻度に50Hz MFの事前ばく露が影響を与えるか否かを調べた。50 Hz MFへのばく露は100 μTで24時間実施し、続いて化学物質へのばく露を3時間実施した。DNA損傷とそれに続く小核形成を誘発するために用いた化学物質はメナジオンとメタンスルホン酸メチル(MMS)である。その結果、MFの事前ばく露は、ヒトSH-SY5Y神経芽細胞腫細胞におけるメナジオン誘発性のDNA損傷、DNA修復率、および小核形成を増強した;MMSでの誘発でも同様の影響が見られたが、有意性はなかった;MF単独ばく露による影響は観察されなかった;総括すると、100 μTのMFへの事前ばく露がメナジオンに対する細胞応答を変化させるという先行研究の知見を確認し、遺伝毒性の増加がそのような相互作用から生じることが示された、と報告している。
DNA損傷の誘導(ばく露の3時間後)に2つの異なる化学剤を用いた:フリーラジカル産出剤としてのメナジオン、あるキレート剤としてのメチルメタンスルホネート。陽性対照にもメナジオン及びメチルメタンスルホネートを用いた(但し、より高い濃度で)。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 24 h
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Cells were exposed in four groups: i) sham exposure ii) MF exposure iii) sham exposure + chemical treatment iv) pre-exposure to MF + chemical treatment chemical treatment either with menadione or with methyl methanesulfonate
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 24 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | pair of 340 mm x 460 mm Helmholtz coils, 220 mm apart, housed inside a temperature-controlled incubator with 5% CO2; cells placed in 55 mm plastic Petri dishes or 48 well plates (micronuclei experiments) in the center of the coil system |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 100 µT | - | 測定値 | - | - |
磁界への事前ばく露は、ヒトSH-SY5Y神経芽腫細胞にメナジオンで誘導したDNA損傷、DNA修復率(DNA損傷レベルの減少)、小核形成を強めた。メチルメタンスルホネートでの知見も同様の影響を示したが、差は統計的に有意ではなかった。磁界単独ばく露後には影響は見られなかった。
著者らは、このデータは、100µT程度の低さの次回への事前ばく露はメナジオンに対する細胞の応答を変化させることを示し、そのような相互作用からの遺伝毒性の増加を示した、自身らの先行研究(Markkanen他、2008)の知見を確認するものである、と結論付けている。
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