この研究は、ヒト線維芽細胞にブレオマイシン(BLM)が誘発する遅延性の染色体不安定性に対して、超低周波電磁界(ELF-EMF)が相互作用するか否かを調べた。細胞の培養期間中を通して、0.8 mT、60 Hz ELF磁界単独ばく露、またはBLMとの組み合わせばく露を行い、1番染色体および4番染色体のDNAプローブを使用した小核セントロメアアッセイを実施した。ばく露から28、88、240時間後に、小核(MN)と異数性の発生頻度を分析した。その結果、BLMとELF-EMFの組み合わせばく露群では、BLM単独処理に比べ、MNおよび異数性の頻度が有意に増加した;磁界ばく露群と擬似ばく露対照群との間に差は観察されなかった;BLMによって誘発されたMNの頻度は28時間で増加し、最大240時間まで持続的に増加したが、28時間でのレベルとの有意差はなかった;BLMは、28、88、および240時間で異数性の頻度を増加させ、28時間で検査した細胞と比べ、240時間で分析した細胞では有意に高い異数性の頻度が観察された;このようなBLMによる遅延性の染色体不安定性に対するELF-EMFの相互作用は観察されなかった、と報告している。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
continuous throughout the cultivation period
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cells were treated: i) with sham EMF exposure ii) with EMF exposure iii) with EMF exposure and bleomycin
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous throughout the cultivation period |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | two solenoids, each 0.3 m long with a diameter of 0.15 m and 350 turns/m of number 16 bifilar magnet wire |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 0.8 mT | - | - | - | - |
共ばく露(ブレオマイシン及び電磁界)はブレオマイシン単独処理した細胞と比較して、は小核及び異数体の頻度の有意な上昇につながった。
但し、電磁界ばく露と偽ばく露対照の細胞には差は認められなかった。
ブレオマイシンで誘導した小核の頻度は28時間後に上昇し、240時間後まで持続的に上昇したが、新たなレベルには28時間後のレベルと統計的有意差はなかった(=電磁界による遅延性の染色体不安定性はなかった)。ブレオマイシン単独では、28、88、240時間後の異数体の頻度が上昇し、28時間後に調べた細胞と比較して、240時間後に分析した細胞には有意に高い頻度の異数性が認められた。
データは、超低周波電磁界はブレオマイシンの細胞毒性を強めることを示唆している。ブレオマイシンは遅延性の染色体不安定性を生じ得るが、ブレオマイシンで線維芽細胞に誘導した遅延性の染色体不安定性に対する超低周波電磁界の影響は認められなかった。
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