この研究は、pTN89プラスミドを用いて、過酸化水素(H2O2)の突然変異作用が超低周波磁界(ELFMF)ばく露の有無により影響を受けるか否かを調べた。大腸菌でこのプラスミドによって引き継がれるsupF遺伝子の突然変異を観察した。プラスミドの処理は次の2通り、すなわち、H2O2(1 μM)単独で37°Cでの4時間処理、またはH2O2処理と同時にELFMF(60Hz、5 mT)ばく露を行う処理である。その結果、H2O2処理とELFMFばく露の同時処理群での突然変異頻度は、H2O2単独処理群のそれの2.5倍であった;ELFMFばく露のみの処理では、突然変異は観察されなかった;これは、ELFMFがH2O2誘発突然変異を増強する可能性を示す;supF変異体プラスミドの配列解析では、突然変異スペクトラムおよびホットスポットに各処理群間での有意な差は見られなかった、と報告している。
突然変異作用を推定するため、pTN89プラスミドを用いた。大腸菌(E. coli)でこれらのプラスミドに運ばれるsupF 遺伝子において突然変異を検出した。この実験系は、supF 遺伝子の単一のベースレベルで突然変異を検出できる。プラスミドDNAを超低周波電磁界で処理/非処理した後、E. coli 内で形質転換させた。用いた E. coli 株は突然変異 supF 遺伝子を含む場合、特定の抗生物質に対する耐性を有し、この抗生物質を含む培地に白色コロニーを形成する。活性 supF 遺伝子を持つ細胞は、そのような培地にコロニーを形成しない。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
continuous for 4 h
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 4 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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チャンバの詳細 | CO2 incubator with a built in coils system kept at 37°C. The inside and outside of the incubators were shielded by silicon steel and Permally C respectively. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 5 mT | unspecified | 指定なし | - | - |
超低周波電磁界への単独ばく露は突然変異を何ら示さなかった。H2O2と電磁界で処理したプラスミドの突然変異発生頻度は、H2O2単独処理と比較して約2.5倍高かった。
このことは、超低周波電磁界はH2O2によって生じた突然変異を増強するかも知れないことを示している。
supF 突然変異プラスミドの遺伝子配列の分析では、群間の突然変異スペクトルに差は認められなかった。
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