この研究は、元のイングランド・ウェールズ中央電力発電局(Central Electricity Generating Board:CEGB)の被雇用者コホート73051人における白血病の発症調査により、低周波磁界への職業ばく露と白血病の関連を調べた。このコホート(1952-82年に雇用開始され、1973-82年に短くとも6ヶ月間、何らかの職種に就いていた。)での1973-2010年における発症を調べた。1971-93年の就労履歴(5つの職種コード(監督者、技師/研究者、事務職、電力作業者、建設作業者)とそれぞれの就労期間)が利用可能であった。1952-94年のばく露評価は、各職種コードに相応するばく露レベルをその就労期間で重み付け加算した(71年以前については記録の最初の職種を当てはめた)。10年以上前のばく露に関する累積ばく露レベル、10年以内の累積ばく露レベル、両者を足し合わせた職業人生累積ばく露レベルの3つのばく露指標のカテゴリー別に、白血病とそのサブタイプの発症率比(RR)を計算した。その結果、全ての白血病を合算した場合のRRは、3つのばく露指標全てにおいて1に近かった;急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病で統計的に有意な量反応関係は見られなかった;急性リンパ性白血病には有意な傾向性が見られたが、参照群での観察値が非常に低かったためであった、と報告している。
グループ | 説明 |
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参照集団 1 | 磁界への生涯の累積職業ばく露: 0 - < 2.5 µT |
集団 2 | 磁界への生涯の累積職業ばく露: 2.5 - < 5.0 µT |
集団 3 | 磁界への生涯の累積職業ばく露: 5.0 - < 10.0 µT |
集団 4 | 磁界への生涯の累積職業ばく露: 10.0 - < 20.0 µT |
集団 5 | 磁界への生涯の累積職業ばく露: ≥ 20 µT |
参照集団 6 | occupational exposure to magnetic fields received >10 years ago (lagged exposure): 0 - < 2.5 µT |
集団 7 | occupational exposure to magnetic fields received >10 years ago (lagged exposure): 2.5 - < 5.0 µT |
集団 8 | occupational exposure to magnetic fields received >10 years ago (lagged exposure): 5.0 - < 10.0 µT |
集団 9 | occupational exposure to magnetic fields received >10 years ago (lagged exposure): 10.0 - < 20.0 µT |
集団 10 | occupational exposure to magnetic fields received >10 years ago (lagged exposure): ≥ 20 µT |
参照集団 11 | occupational exposure to magnetic fields received <10 years ago (lugged exposure): 0 - < 2.5 µT |
集団 12 | occupational exposure to magnetic fields received <10 years ago (lugged exposure): 2.5 - < 5.0 µT |
集団 13 | occupational exposure to magnetic fields received <10 years ago (lugged exposure): 5.0 - < 10.0 µT |
集団 14 | occupational exposure to magnetic fields received <10 years ago (lugged exposure): 5.0 - < 10.0 µT |
集団 15 | occupational exposure to magnetic fields received <10 years ago (lugged exposure): ≥ 20 µT |
タイプ | 値 |
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合計 | 73,501 |
全ての種類の白血病については、どのばく露カテゴリーでもリスク上昇は認められず、職業的な累積(あるは最近または以前の)磁界ばく露の増加に伴うリスクも示唆されなかった。急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病または慢性リンパ性白血病については、統計的に有意な量‐反応影響は認められなかった。急性リンパ性白血病については有意な正の傾向があったが、これは主に最も低いばく露カテゴリーにおける通常ではない低いリスクに基づいていた。
著者らは、本研究では磁界へのばく露が白血病のリスク要因であるという仮説を支持する説得力のある証拠は認められず、この知見は以前の及び最近の磁界ばく露はどちらも白血病全般と因果的に関連していないという仮説と一致する、と結論付けた。急性リンパ性白血病にについての限定的な陽性の知見は偶然によるものかも知れない。
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