<目的>電力従業員のがん罹病のリスクと電界曝露との相関についての可能 性を症例ー対照研究によって検討する。<方法>1978年から1989年までの間にElectricite de France-faz de France に雇用された約17万人の従業員コホートの中から、定年までに罹病したがんの全ての症例と良性の脳腫瘍症例について、電界曝露との関連の症例ー対照研究を行った。誕生年で一致した対照を個々の症例について4名任意に選出した。曝露は対象者の職業から推定したが、その基礎となった職業ー曝露マトリックスは850名のEDFの作業者のそれぞれ1週間の間の作業を測定し収集したデータによって作成されたものである。累積曝露を表現するための計算には算術平均と幾何平均が用いられた。職場において見いだされた発がん性のある化学物質への曝露は専門家の判断によって評価された。<結果>72症例見いだされた白血病については電界曝露との有意な関連は無かった。69症例の全脳腫瘍について90%タイル以上の曝露(≧387V/m)でのオッズ比は3.08(95%CI 1.08-8.74)となり、曝露の増加に伴ってリスクも増加する傾向がみられた(直線的ではないが)。磁界曝露あるいは発がんの可能性のある交絡因子による影響は明らかに認められなかった(表3)。観察されたこの影響は、診断前の5年間に限ってみると、そのオッズ比は若干大きくなった(表6)。しかし、特定のタイプの脳腫瘍との関連はなかった(表4)。幾何平均で見ると、大腸がんのリスクも有意に増加していることが観察された(表3)。これらの結果から著者は電界曝露は脳腫瘍のリスクに特定の影響を与えるかもしれないと示唆している。
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