研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[白血病と脳腫瘍と電磁界の職業ばく露の関係:スウェーデンにおける症例対照研究] epidem.

Occupational exposure to electromagnetic fields in relation to leukemia and brain tumors: a case-control study in Sweden

掲載誌: Cancer Causes Control 1993; 4 (5): 465-476

1983~87年に診断された白血病患者250例、および脳腫瘍261例で低周波電磁界EMF)の職業ばく露を調べ、1983~87年にスウェーデンの中部地区で無作為に抽出された男性1, 121名の対照グループと比較した。1, 015箇所の様々な職場での測定からばく露評価を行って、これを参考にした。診断前10年間で一番長く従事した仕事に基づいて、磁界の1日平均レベルと慢性リンパ球白血病(CLL)との関連を見いだした。リスクばく露レベルの増加に伴って増加した。連続した3つのばく露レベルで、オッズ比OR)および95%信頼区間(CI)は、それぞれ1.1(CI=0.5~2.3)、2.2(CI=1.1~4.3)、3.0(CI=1.6~5.8)であった。急性骨髄白血病では、関連は認められなかった(OR=1.0、CI=0.5~1.8;OR=0.8、CI=0.4~1.6;OR=1.0、CI=0.6~1.9)。脳腫瘍では対応するリスク推定値は1.0(CI=0.7~1.6)、1.5(CI=1.0~2.2)、1.4(CI=0.9~2.1)であった。違った磁界指標で試験した。CLL被検者では、高磁界と低磁界との間で頻繁かつ大きく変動する業務(標準偏差が大)が、より一般的であった。脳腫瘍では、長期的な高レベル(中央値が大)が最も関連性が強かった。居住場所、喫煙、ベンゼン電離放射、殺虫剤、溶剤による交絡を評価したが、これらの因子が関連性に決定的な影響をおよぼすとは思えなかった。他の潜在的バイアス源も分析した。CLLでは、非反応者の中に過剰な数の低ばく露者があり、得られたリスク推定値をある程度強めた可能性はあるが、その原因とはならなかったと思われる。本研究は、職業磁界ばく露が、ある特定のがん発現ハザードであるという仮説を裏付けている。

ばく露

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