<目的>水力発電と送電に伴う電磁界曝露について、計算された累積磁界曝露量とガンとの相関があるかどうかを確かめる事を目的とする。 <方法>ノルウェーの8つの主電力会社で1953年から1991年まで少なくとも1年間勤務した男性従業員5088名を対象とした(116930人・年)。勤務した会社から氏名、識別番号、生年月日、退職期日、職歴等を入手、喫煙習慣の情報も89%得られた。コホートは5名を除き、すべて追跡され、ガン死亡者はガン登録の死亡診断書から分類された。電磁界の測定は2つの主電力会社(全コホートの50%以上)でスポット測定を行い、その結果から職場の代表値を推定計算した(表1)。溶媒、除草剤、アスベスト、ケーブルオイルの使用も4レベルの頻度に分け、評価した。曝露履歴は古参従業員の記憶に基づいて職種毎に決められ、実測値と併せて積算曝露値(μT・年)が求められた。化学曝露は曝露レベルと従事年数の積で表された。平均従事年数は22年、48%以上が20年以上の勤務者であった。 <結果>(1)486名のガン症例があったが、どの種類のガンも標準罹病比(SIR)の有意な増加は見られなかった(表2)。(2)全ガンをはじめ6種類のガンでは従事年数と共にリスクが増加する傾向が見られた(表3)。(3)三段階に分けた累積磁界曝露とそれぞれのガンのSMRを見ると、35μT・年以上の曝露の場合に悪性メラノーマのリスクのみが有意に増加していることが示された(表5)。(4)磁界曝露レベルが高いことと同時にPCBの曝露或いはスパーク放電を受ける職業では悪性メラノーマのリスクが有意に増加することが示された(表6)。
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