この研究は、電力周波数(50/60 Hz)の磁界(MF)がヒト乳がん細胞株に影響を与えるか否かを調べる実験を行なった。インビトロで、MFばく露および擬似ばく露を与えた後、ヒト乳がん細胞株の生存率、増殖および細胞毒性を測定した。実験には3種類のエストロゲン受容体陽性ヒト乳がん細胞株(MCF-7、ZR-75-1およびT-47D)および1種類のエストロゲン受容体陰性ヒト乳がん細胞株(MDA-MB-231)および正常(非形質転換)なヒト乳房上皮細胞を用いた。それぞれに、72時間のMF(1 mT)または擬似磁界(<0.0001 mT)ばく露を与えた。細胞生存率は、ばく露終了直後および72時間後に、スルホローダミンB(SRB)アッセイを用いて測定された。細胞増殖は、ばく露終了からの72時間におけるSRB色素取り込みの変化として測定された。その結果、MFばく露は、試験したいずれの細胞型においても細胞生存率または増殖に影響を及ぼさなかった;同様に、MFばく露は、レチノイドN-(4-ヒドロキシフェニル)レチナミド誘導の細胞毒性にも影響を及ぼさなかった;これらのデータは、MFばく露が乳がん細胞の増殖を促進するという仮説を支持しない、と報告している。
ホルモン依存性の細胞は磁界に対してより敏感に応答するかどうかという仮説を明確にするため、ホルモン受容体の状態が異なるヒト乳がん細胞株を選択した。
更に、磁界ばく露が人為的に誘導した細胞毒性に対する影響を調査した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
continuous for 72 h
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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偏波 |
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ばく露時間 | continuous for 72 h |
ばく露の発生源/構造 |
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Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | - | - | - | - |
調査したいずれの細胞株においても、細胞の生存能力または細胞増殖に対する磁界ばく露の影響はなかった。同様に、人為的に誘導した細胞毒性に対する磁界ばく露の影響もなかった。
この結果は、磁界ばく露には乳がん細胞の増殖に対するイン・ビトロでの影響力はないことを示すものである。
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