この研究は、ヒト乳がん細胞株を用いて、50 Hz電磁界(EMF)がプラスミノーゲン活性化因子システムへの妨害作用をもつか否かを調べた。異なる2つMCF-7 細胞に、極めて一様な50 Hz、1.2 µTのEMFのばく露を連続で48時間または96時間与えた。遺伝子発現の変化を逆転写PCR法で分析した。その結果、EMFばく露を受けたMCF-7細胞では、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子遺伝子およびプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1の発現が顕著に増加した;ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子の受容体の発現は、2つのばく露細胞株のうちの1つでわずかに増加し、組織プラスミノーゲン活性化因子の発現は、ばく露細胞株で少なくともわずかに減少した;以上の知見は、EMFが乳がん細胞の転移力を高めることがあるかもしれないことを示したが、さらに研究が必要である、と報告している。
2つの異なるMCF-7乳がん細胞株におけるプラスミノーゲン活性化因子系に対する低周波電磁界の影響を調べること。
プラスミノーゲン活性化因子系は、細胞外基質の劣化(アポトーシスの多段階の重要なプロセス)に関与している。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 48 hr or 96 hr |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | homogeneous field: variation less than 5 %; 75 cm long copper tube with a diameter of 30 cm, closed on either end with a copper plate; a bifiliar wire wrapped around the tube for heating; on top of this a second layer of wiring was wound and connected to a signal generator |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1.2 µT | - | - | - | - |
1.2µT電磁界にばく露したMCF-7細胞では、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子遺伝子及びプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1の遺伝子発現が顕著に増加した。ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子の受容体の遺伝子発現は、2つの細胞株のうちの一方のみで僅かに増加し、組織プラスミノーゲン活性化因子の発現は、ばく露した乳がん細胞で僅かに下方制御された。
このデータは、環境中の電磁界はプラスミノーゲン活性化因子系の重要な遺伝子の発現を増加させることを示している。ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子及びプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1の遺伝子発現の増加は、乳がんの転移能をより高めるかも知れない。
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