この研究は、まず、ヒト臍帯血由来単球に対する超低周波磁界(ELF-MF)の細胞活性化能を評価したところ、先行研究での知見(ヒト単球においてELF-MF(1.0 mT)の細胞活性化能が示された)を再確認した。細胞活性可能は、活性酸素腫(ROS)放出の増加として検出された。さらに、遺伝子発現プロファイリング(全ゲノムcDNAアレイHuman Unigene RZPD-2)を行い、45分間のELF-MFばく露後の細胞活性化プロセス中の関連遺伝子の全体像を示した。その結果、代謝、細胞生理学的プロセス、シグナル伝達、免疫応答に関与する986個の遺伝子の変化を示した;大きな発現変化(2倍以上または0.5倍未満の発現)を示したのは次の5個の遺伝子であった(IL15Rα(インターロイキン15受容体α、EPS15R(上皮成長因子受容体経路基質15)、DNMT3α(仮想タンパク質はMGC16121)、DNMT3α(DNA(シトシン-5)メチルトランスフェラーゼ3α)、および既知遺伝子と一致しない1つの遺伝子(DKFZP586J1624));45分間のELF-MFばく露中のIL15RαおよびIL10Rαの発現動態のリアルタイムRT-PCR分析は、代替経路を介した細胞活性化の調節を示唆した;また、FOS、IL2Rαおよびメラトニン合成酵素HIOMTの遺伝子発現遅延は炎症過程の抑制を示唆している;これらの知見は、ELF-MFが代替経路を介してヒト単球を活性化することを示唆している、と報告している。
ばく露後の遺伝子制御を検出するため、ゲノム大の遺伝子発現分析を適用した。遺伝子の数の変化から、著者らは仮説を提唱した。即ち、超低周波磁界ばく露による代替経路(免疫細胞活性化のための3つの異なる経路のうちの1つ;細胞外マトリクス構築、細胞増殖、及び血管新生の促進、ならびに炎症の回復)の活性化で、これをばく露の0、5、15、30、45分後に特定の遺伝子分析によって検査した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
5, 15, 30 and 45 min
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | 5, 15, 30 and 45 min |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Cells were exposed in the central area of the coils which was placed in a CO2 incubator maintained at 37°C. Control cells were cultured in an identical incubator without the coils. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | unspecified | 測定値 | - | - |
この知見は、ROS放出の増加として検出される、ヒト単球における超低周波磁界の細胞活性化能力についての先行研究の結果を確認するものである (publication 11436 及び publication 7475 参照)。
データは、代謝、細胞の生理学的プロセス、シグナル伝達及び免疫応答に関与する986個の遺伝子の変化を示した。5個の遺伝子について有意な制御が分析された。45分間の超低周波磁界ばく露の際のIL15RA及びIL10RAの遺伝子発現分析は、代替経路を介した細胞活性化の制御を示す一方、FOS、IL2RA、及びメラトニン合成酵素HIOMT遺伝子発現の遅延は、炎症プロセスの抑制を示唆した。
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